研究課題/領域番号 |
24390381
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
丸山 哲夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10209702)
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研究分担者 |
内田 浩 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90286534)
升田 博隆 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80317198)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 幹細胞 / 子宮内膜症 / 子宮腺筋症 |
研究概要 |
磁性体の使用と宿主環境への介入による新しい子宮内膜症・腺筋症モデルマウスの確立に向けて研究を行った結果、以下の成果を得た。 A.磁性体標識発光内膜細胞の作製 非機能膜型受容体(membrane X receptor,mXR)、発光蛋白CBR、および蛍光蛋白GFPの3つを同時に発現することが可能なレンチウイルスを初代培養細胞に感染させて、3つのそれぞれが十分に発現するか否かを検討したが、様々な条件下においても感染効率が低いため、それぞれの発現量も目標には十分に達し無かった。そこで、戦略を軌道修正し、子宮内膜由来の不死化細胞および癌細胞株にまず感染させて、導入された少数の細胞をセルソーターで分取して、それを増殖させることにした結果、得られた細胞はmXR、CBR、GFPとも十分に発現していた。また、これらの細胞は、mXRに対する抗体と磁性体を用いたmaglletic cell sorting(MACS)によってもさらに選別・濃縮することが可能であった。 B.磁性体による標識発光内膜細胞のin vivo集積とその生物発光イメージング 重度免疫不全マウスNOGの腹腔内に、選別・濃縮された上記の細胞を移植し、同時に「ネオジム磁石丸型」といった複数個のミニ磁石を体外あるいは体内に留置させることにより、任意の場所に標識細胞を集積させて、異所性病変の作成を試みた。Xenogen社IVISの発光イメージングを用いることで、目標とする場所への集積が示唆された個体もあったが、コントロール群との差異が明確でない個体もあり、ミニ磁石の磁力強化や留置場所・時間の条件設定など今後検討すべき課題があることも判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発現細胞が得られてin vitroでのMACS選別は可能になった点は当初の目標の大部分は達成し得た。しかし、レンチウイルスの細胞への感染効率が十分でないことや、マウスに装着するサイズのミニ磁石では十分な磁力が得られないことなどがあり、条件設定や戦略の変更などに時間を要したため、病変を有する宿主の介入実験までには至っていない点で、「やや遅れている」とした。また、平成24年4月~7月にかけて研究室が移転したことも研究が当初の予定から遅れた一要因となった。
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今後の研究の推進方策 |
ミニ磁石の磁力強化や留置場所・時間の条件設定を今後さらに重点的に行うとともに、初代培養細胞や幹細胞にこだわらず、前述の方法で得られた3者発現の不死化細胞や癌細胞を積極的に活用することで、レンチウイルスの感染効率の低さを今後は克服する。すなわち、先ず病変形成を目標にして、次に安定的に出来た病変に幹細胞をもぐり込ませて幹細胞の振る舞いを追跡する戦略を取る。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越が生じた主な理由は、1)安定的な病変形成が可能なシステムの確立、2)そのシステムを用いた幹細胞の追跡実験、3)病変を有する宿主の介入実験、の1)~3)のいずれにも十分に到達出来なかったためである。翌年度は、これら1)~3)も併せて行うことで、子宮内膜症・腺筋症モデルの確立を目指し、幹細胞の役割を明らかにすることを目指す。
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