研究課題
1)妊娠高血圧腎症(PE)胎盤の分子病態におけるmiRNAの役割解析:(1)19番染色体上にクラスターを形成している胎盤特異的miRNAのプロモーター領域(Noguer-Dance et al. Hum Mol Genet 19: 3566-3582, 2010)の解析を引き続き行った。栄養膜細胞株(BeWo細胞)を用いてプロモーター活性を検討してみると、この領域に含まれている47塩基よりなる15回の繰り返し配列より上流部位の約100塩基の配列がプロモーターの主要部位であることを確認するとともに、これ以降の繰り返し配列がプロモーター活性に影響を与えることを見出した。2)PE妊婦(母体血管内皮細胞などの母体細胞)における胎盤由来miRNAが及ぼす影響解析:母体細胞への影響解析の一環として、in vitroでのモデル実験、および妊婦末梢血natural killer(NK)細胞での胎盤特異的miRNAのエクソソームを介した取り込みと標的遺伝子の発現解析を行った。BeWo細胞(ドナー細胞)由来エクソソームを添加したJurkat細胞(レシピエント細胞)において、胎盤特異的miRNAが検出可能であった。胎盤特異的miRNA の1つであるmiR-517a-3pがPRKG1遺伝子を標的遺伝子であることを同定した。さらに、妊婦末梢血の解析から、分娩直前の妊婦末梢血より分離したNK細胞においてmiR-517a-3pが検出されたが,分娩4日後には消失していた。逆に、NK細胞におけるPRKG1の発現は分娩前後で逆相関していた。胎盤は、エクソソーム中の胎盤特異的miRNAを介して母体末梢血中のNK細胞の遺伝子発現を微調整し、その機能に影響を与えている可能性が示唆された。3)miRNAを基盤としたPE予知因子の開発:妊婦血液中の新たなPE関連miRNAおよびその標的分子のコホート研究のためのサンプル採取:前年度に引き続き、サンプル採取を行った。
3: やや遅れている
In vivo解析用のPEモデルマウスの作製としてレンチウイルスによるPEモデルマウスを作製するための予備実験を継続して行っているが、必要な手技(胚盤胞への特異的遺伝子導入や導入胎盤の組織化学的評価)の精度向上に時間がかかり遅れているため。
遅れはあるが着実に進展しているので、計画に沿って研究を進める予定である。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (9件)
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