研究概要 |
I.臨床検体・臨床情報の収集:分担研究施設と連携して引き続いて検体の収集、保管、臨床情報データベース構築を継続した II.臨床検体解析:CTCならびに骨髄DTCの検索、培養:今年度得られた臨床検体につき、CTCの分離と、PCR法によるCTCの検出・評価と分離培養を試みたが、これらはいずれもCTC陰性例であった。結果的に腫瘍細胞分離には至らなかったが、構築した検出システムの実働を確認し得た。 III.培養腫瘍細胞における基礎的研究:平成25年度はFACSを用いて小児固形腫瘍株における候補腫瘍幹細胞マーカーの表出の確認を行った。肝芽腫細胞株(HepG2, HuH6)、横紋筋肉腫細胞株(Rh30, KYM-1, RMS-YM, RD)、神経芽腫細胞株(LAN5)、ラブドイド腫瘍株(W4)についてFACSにより候補腫瘍幹細胞マーカー(CD13, CD44, CD44v, CD133)を同定した。腫瘍幹細胞マーカーの表出がみられる株においてはソート分離し免疫不全マウス(SCID-NOD)に移植して造腫瘍能を確認した。その結果、CD44では全ての腫瘍株で表出が確認された。しかし、一部の成人癌では腫瘍幹細胞と密接な関係があるとされているCD44vはいずれも小児固形腫瘍細胞株での発現はみられなかった。これに対して、肝芽腫細胞株(HepG2, HuH6)ではCD13の表出がそれぞれ約50%,10%に認められ、現在 HuH6でCD13陽性細胞をSCID-NODマウスに移植してその造腫瘍能をCD13陰性細胞との比較を行っている。候補癌幹細胞表面マーカーであるCD13陽性細胞の高い造腫瘍能や抗癌剤抵抗性が示されればCD13陽性細胞が腫瘍幹細胞の性質をもつことが示される。現在、CD13陽性細胞阻害剤としてウベニクス(ベスタチン)が臨床使用可能であり、CD13を標的とした腫瘍幹細胞治療の可能性が期待される。
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