今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究計画は、「骨細胞が周囲の石灰化基質ミネラルを調節する機序の解明」を予定している。従って、FGF23-klothoシグナルを中心としながらも、骨細胞が様々な環境や調節因子によって、骨細胞が周囲の骨基質をどのように改変してゆくのかを検索する予定である。その中で重要な課題となるのは、骨細胞が周囲の骨基質を溶解するメカニズムの解明であり、骨細胞性骨溶解については破骨細胞の関与が指摘されていることから、破骨細胞がしないマウスを用いて同様の検索を行う。また、平成25年度から進めているアレンドロネートにより、骨細胞が委縮する(または骨小腔の拡大)現象を確認しており、臨床的に問題となっているatypical femoral fracture(AFF)の原因として骨細胞の障害・または骨小腔の拡大を推察している。これらについて、Pit1, TNALP, ENPP1といった石灰化酵素群、MGP, DMP-1, osteocalcinといった石灰化に関連する蛋白、プロトンポンプのサブユニット(d1, d2, a3, a4など)の発現・微細局在を共焦点レーザー顕微鏡および透過型電子顕微鏡で解析するとともに、EDXやEPMAによる骨基質の石灰化結晶構造を解析する予定である。さらに、平成26年度の検索で重要なことは、骨細胞が伸ばす細胞突起がどのように分布しており、どういった領域の骨基質石灰化を調節するのかが重要な課題になる。これについては、現在、FIB-SEMを中心とした骨細胞ネットワークの立体構造解析を進めている。FGF23-klotho軸が骨細胞ネットワークで機能するかについては、DMP-1 promoter cassetteにFGF23cDNAを組み込んだ骨細胞特異的FGF23発現トランスジェニックマウスの所見が得られることを期待して進めている。
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