研究課題
侵襲性レンサ球菌感染症は発症後に急速に進行し,重篤な組織傷害を伴う.その一因として,組織に侵入した細菌は免疫機構を回避し,急速な増殖と共に産生する病原因子により組織傷害を起こすことが挙げられる.さらに,宿主自身による内因性の傷害が生じている可能性も考えられる.すなわち,細菌感染が引き金となり,免疫調節システムの破綻により傷害が惹き起こされる組織傷害である.本研究では,強力な自然免疫システムである補体カスケードの破綻に着目した.補体カスケードは重要な免疫系の反応であるが,先天性疾患などにより,補体制御因子が欠失すると自己組織を傷害標的とし,重篤な組織傷害を伴う自己免疫疾患を生じる.これまで申請者らは,A群レンサ球菌が分泌するタンパク分解酵素は補体制御因子を分解し,補体カスケードの破綻を誘導することを明らかにした. また,in vitroの結果から,菌体の補体免疫回避と除菌後の内因性傷害が起こることが推察された.本年度では,補体制御因子を分解するタンパク分解酵素遺伝子の欠失によりマウスへの病原性に影響を与えるかについて検討を行った.A群レンサ球菌の親株とタンパク分解酵素遺伝子の欠失株を用いて,皮膚感染モデルでの壊死性病巣の形成を指標に病原性を検討したところ,タンパク分解酵素遺伝子の欠失により壊死病巣のサイズは縮小した.この結果から,生体内においても細菌のタンパク分解酵素が補体制御因子を分解し,補体カスケードの破綻により組織破壊は起こる可能性が示唆された.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS One
巻: 9 ページ: e103125
10.1371/journal.pone.0103125
巻: 9 ページ: e88136
10.1371/journal.pone.0088136
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http://web.dent.osaka-u.ac.jp/~mcrbio/