研究課題/領域番号 |
24390422
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
大野 純 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (10152208)
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研究分担者 |
福島 忠男 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80084250)
川口 稔 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (10122780)
岡村 和彦 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (00224056)
榎 規雄 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (00509052)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 口腔粘膜疾患 / 免疫応答 / エフェクター細胞 / 口腔扁平苔癬 / 上皮組織 / 上皮指向性 / サイトカイン / ケモカイン |
研究概要 |
H24年度は、本研究目的である3型口腔粘膜病変(satellitosis型、hchenoid型および1upus型)のモデル作製とエフェクター細胞の同定および性状解析を中心に検索を行った。3病変ともに、エフェクター細胞の口腔粘膜上皮組織への浸潤性が病理組織学的特徴であった。しかしながら、エフェクター細胞の性状ならびに上皮組織への浸潤様式は、それぞれの病変における特徴を示した。すなわち、satelhtosis型病変は、初期で認められるNK細胞は、上皮直下結合組織で、また中期病変でのマクロファージは上皮基底膜に対して浸潤する傾向を示した。両者は、CD8陽性T細胞の様に、上皮組織内への浸潤性は示さなかった。また、病変部からのCD8陽性T細胞を単離し、初期病変を呈する口腔粘膜にインジェクションすると、上皮組織への遊走性が認められた。関連サイトカインおよびケモカインとしては、NK細胞およびマクロファージからのMCP-1がCD8陽性細胞の上皮指向性に関与する可能性が示唆された。hchenoid型およびlupus型病変においては、エフェクター細胞(マクロファージ系細胞)のターゲットが上皮基底膜であることが、免疫病理組織学的検索から明らかとなった。両病変の上皮基底膜には、抗基底膜自己抗体が発現し、自己免疫反応の関与により、エフェクター細胞を上皮組織へ動員することが示唆された。また、病変部ではIL-4ならびにIL-6mRNA発現が著明となっており、Th2型免疫応答が病変成立に関与しているものと考えた。 以上の結果から、3型口腔粘膜病変ではエフェクター細胞の上皮指向性機序が異なることが明らかとなった。上皮指向性機序の違いは、それぞれの病変の発症・進行に関与する免疫応答の違いによるものと推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3病変の中でlichenoid型の病変解析からのデータが不足している。その理由としては、同病変は、慢性GVH反応の誘導により作製するが、その反応に対する評価法に再現性が取れなかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
Lichenoid型の病変に、上皮基底膜での抗基底膜自己抗体の発現による判定法を応用することにより、同病変の再現性が得られると考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
各病変組織および各病変に特徴とされるエフェクター細胞の遺伝子マイクロアレイ検索を行う予定としたため。アレイ検索により、各病変に特徴的な遺伝子を拾い上げ、病態解析に応用したいと考えている。
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