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2012 年度 実績報告書

歯髄痛覚系に対する交感神経のクロストークと新たな疼痛制御理論の提案

研究課題

研究課題/領域番号 24390423
研究種目

基盤研究(B)

研究機関東北大学

研究代表者

笹野 高嗣  東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10125560)

研究分担者 庄司 憲明  東北大学, 大学病院, 講師 (70250800)
飯久保 正弘  東北大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (80302157)
佐藤 しづ子  東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (60225274)
市川 博之  東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20193435)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード歯痛 / 交感神経 / 疼痛制御
研究概要

歯髄炎による歯痛は日常臨床で最も頻繁に遭遇する症状である。我々は既に、実験的歯髄炎において交感神経が発芽することを見出し、感覚神経と交感神経のクロストークについて示唆した。しかし、交感神経が実際に歯痛を修飾するかどうかについては不明であり、交感神経を抑制することにより痔痛を制御するという発想はこれまでない。そこで本研究では、末梢における痛覚系と交感神経の関係に着目し、(1)発芽した交感神経が歯髄の痛覚系に及ぼす影響について立証し、次いで、(2)交感神経の影響を制御する新たな痔痛制御理論を確立することを目的としている。本年度は、実験的歯髄炎を起こした歯に電気刺激を与え、中枢レベルで痛みを定量する方法を確立することを目標として研究を進めている。電気刺激の後、実験動物の三叉神経節を取り出し、組織切片(凍結切片)および組織ブロックを作製し、得られた組織切片からc-Fos、pERK等の痔痛関連タンパクの発現量について、免疫組織化学的検索により、解析している。
なお、本実験の過程で学術的に意義の高い事象を見いだした。すなわち、歯への電気刺激により、刺激側の頬側および舌側歯肉に血流の増加反応がみられ、その反応は局所麻酔注入後には消失した。さらに、刺激側の頬側および舌側歯肉に血症漏出がみられた。一方、反対顎歯肉および局所麻酔注入後では、血流反応や血症漏出はみられなかった。このことから、歯髄と歯肉には神経軸索が存在し、軸索反射性の血管拡張に加えて血漿漏出が引き起こされた可能性があると考えられた。この結果は、歯髄の痛みは、神経軸索を介して近傍の歯肉に神経原性炎症を引き起こす可能性を示唆するもので、世界でも報告がなく、新たに見いだした知見と考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の目的である歯髄痛覚系に対する交感神経の発芽については既に立証することができた。この交感神経が痛みをどのように修飾しているかについて今後明らかにしていく予定である。また、二次的な結果として、歯髄の痛みは、神経軸索を介して近傍の歯肉に神経原性炎症を引き起こす可能性を示唆することができた。この結果は世界でも報告がなく、新たに見いだした知見である。今後はこの知見についても同時に研究を進める予定でいる。

今後の研究の推進方策

当初の目的である歯髄痛覚系に対する交感神経の発芽と交感神経による痛みの修飾について引き続行き研究を遂行する予定である。また、二次的な結果として、歯髄の痛みは、神経軸索を介して近傍の歯肉に神経原性炎症を引き起こす可能性を示唆することができたため、同一の実験系で研究を進めることとする。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は、平成24年度に得られた結果を基に、交感神経に関わる痔痛制御理論を確立する。既に平成24年度に実験系は確立しているため、継続的な実験動物購入費、麻酔薬や試薬等、解析ソフト等に研究費を充て、研究を遂行する。

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公開日: 2014-07-16  

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