研究課題/領域番号 |
24390430
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30178644)
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研究分担者 |
菅野 太郎 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30302160)
林 栄成 東北大学, 大学病院, 助教 (60375102)
猪飼 紘代 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20431588)
中村 圭祐 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30431589)
庭野 吉己 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (40375184)
河野 雅弘 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (70333226)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ラジカル殺菌 / ヒドロキシルラジカル / フリーラジカル / 過酸化水素 |
研究概要 |
申請者らは、3%以下の低濃度過酸化水素に405nmの可視光を照射し、ヒドロキシルラジカルを効率的に生成する方法を開発した。本法は、安全性が担保された低濃度過酸化水素水と可視光を用いる点、さらに光量を調節することで殺菌力をコントロールしうる点に特徴を有する。そのためこのラジカル殺菌技術は、歯周病病原菌等の殺菌効果を期待した口腔内応用が可能であるものと考えられた。そこで本研究では、ラジカル殺菌技術による(1)歯周病等の病原菌に対する殺菌能の評価および殺菌メカニズムの解明し、(2)生体安全性および歯科材料へのラジカルの影響を詳細に検討し、(3)前臨床試験および臨床試験へと発展させ、本ラジカル殺菌技術を歯科臨床応用するための基盤を形成することを目的とした。平成25年度においては、動物実験による生体安全性の評価及び歯科材料へのラジカルの影響を評価した。 本試験では、(1)ヒトでの適用部位に相当するラットの口腔粘膜組織に対する直接的影響を組織学的に調べること。(2)角質を含めた表皮層による保護がない状態での皮膚組織構成細胞に対する影響を全層皮膚欠損創モデルで調べることを目的とした。実験には雄性 Wistar 系ラット(SPF)5週令を用い、(1)水対照群、(2)水+レーザー対照群、(3)過酸化水素群、(4)過酸化水素+レーザー対照群の4つの試験群を設定した。これらの実験の結果から以下のことがわかった。(1)過酸化水素 + レーザー処理群では、対照群と同様に創作製後、豊富な血管新生を伴う肉芽組織の形成が観察され、経日的に肉芽組織上で上皮化が進展した。(2)一部、過酸化水素 + レーザー処理群で対照群に比し、上皮化がより進展している所見も観察された。(3)創作製後9日目では、対照群および過酸化水素 + レーザー処理群のいずれにおいても完全な上皮化が観察される個体が認められた。 以上の結果より、本ラジカル殺菌技術の安全性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度において計画していた研究を全て順調に遂行できたため。また、その結果も研究を着想した時点で予想した結果の通りであったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度以降も交付申請時の研究計画通りに進めていく予定である。具体的には、平成24-25年度の研究により、本ラジカル殺菌技術を安全かつ病原菌に対して効果的に歯科応用するために必要なラジカル量を設定し、東北大学病院において前臨床試験を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物実験のスケジュールが当初計画していたものよりスムーズに進んだため、経費を削減することができた。 平成26年度において計画している前臨床試験に必要な器材の購入に充てる予定である。
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