研究課題
これまでの研究で、申請者らは過酸化水素光分解殺菌技術の高い殺菌効果を見出し、臨床応用に向けて in vivo での生体安全性の評価まで行ってきた。平成25年度の成果として、ラットを対象に行った動物実験において生体安全性を確認している。本年度は、東北大学病院臨床研究倫理委員会の承認を得て本技術を応用した歯周病治療器の臨床研究を行った。対象となった患者は25名で、安全性と効果を比較検証するためスプリットマウスデザインにて研究を実施した。治療開始前には十分な口腔衛生指導が行われ、治療後の定期診検査時(2, 4, 8, 12 週後)にも継続した指導によりプラークコントロールが徹底された。治療効果の比較および評価にはポケット深さ(PPD)とプロービング時の出血(BoP)をパラメーターとして用い、ポケット内細菌の培養による細菌検査も行った。研究の結果、治療後にはテスト群およびコントロール群でPPD ・BoP 双方の減少が認められ、特にPPDに関してはt-testで検定すると4週後および8週後に、テスト群で有意に低いPPDが認められた。また、細菌検査においては、テスト群およびコントロール群双方で治療後に総菌数(TVC)および黒色色素産生菌数(BP)が減少することが確認された。ベースライン検査時(BL)と比較して治療後の検査時に菌数が減少した頻度、およびBLと比較して菌数が1/10となった頻度をTVCとBPについて分析した結果、テスト群の方が高い頻度を示す傾向が認められた。菌数を平均値で評価した場合にはデータの大きなばらつきにより群間で有意な差が認められなかったが、被験者毎に菌数減少の程度について頻度で比較するとテスト群の方がコントロール群よりも効果があることが示唆された。本年度の研究により、過酸化水素光分解殺菌技術を応用した歯周病治療器が歯周病の改善に寄与することが示された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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