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2012 年度 実績報告書

摂食・嚥下機能に関わる中枢と末梢の制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 24390431
研究種目

基盤研究(B)

研究機関新潟大学

研究代表者

井上 誠  新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)

研究分担者 堀 一浩  新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70379080)
谷口 裕重  新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80529636)
辻村 恭憲  新潟大学, 医歯学系, 助教 (00548935)
中村 由紀  新潟大学, 医歯学系, 助教 (70452779)
真柄 仁  新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (90452060)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード咀嚼 / 嚥下 / 歯科 / リハビリテーション / 動物
研究概要

末梢刺激や中枢刺激によって誘発される嚥下反射の違いを考察することにより,その入力様式を検討すること,下位脳幹に存在する嚥下中枢からの出力と三叉神経系活動や自律神経系活動への影響を明らかにすることを目的としたヒト・動物実験を開始した.
1)上喉頭神経または大脳皮質島皮質への連続電気刺激により嚥下反射を誘発して,その筋活動パターンの違いを検索する.2)両刺激に対して,孤束核もしくは投射先からの単一ニューロン活動を記録し,連続刺激に対する応答パターンや上位(視床)への出力パターンの違いを検索する.3)嚥下応答と三叉神経系との関連を調べる目的で,上喉頭神経刺激に伴う三叉神経ニューロン活動,自律神経活動としての呼吸,血圧,心拍数などの記録を行う.このうち,1については,咀嚼野のやや下方にて潜時の長い嚥下誘発部位を同定し,誘発された嚥下時の筋活動パターンが明らかに末梢性に誘発されたものとは異なることを発見した.現在論文執筆中である.単一ニューロン活動の記録は継続中である.安定した記録採取のための技術獲得は容易ではない.3については,嚥下時に活動を変調させる三叉神経ニューロンは現在までに同定されていない(n=20)ものの,自律神経活動については,上喉頭神経刺激強さ依存性に変化が認められる.いずれの神経群が関与するかについては今後の検討を要する.
ヒト実験では,嚥下を誘発する感覚刺激効果が口腔刺激により受ける影響を評価した.無味無臭のガム咀嚼時の咽頭刺激は,安静時の刺激に比べて有意に嚥下誘発を抑制したことは,咀嚼中枢と嚥下中枢の機能連関を示唆した申請者らの過去の動物実験の結果と一致していた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

動物実験に関して,上喉頭神経の入力を受ける単一ニューロンが見つかっていない.実験機器がそろい,電気的ノイズを除去する環境が整ったので,次年度には実験が遂行できると期待する.

今後の研究の推進方策

嚥下誘発に関わる感覚入力としての上喉頭神経からの中枢入力と上位脳との神経連絡を組織学的,生理学的に調べる.また,口腔感覚が上喉頭神経入力に与える影響をヒト・動物実験により明らかにする.
1)上喉頭神経への順行性トレーサー注入によりその投射先である二次ニューロンプールの局在を明らかにする.さらに,視床への逆行性トレーサー注入により,これらの二次ニューロンの上位投射への関与を組織学的に明らかにする,2)上喉頭神経への電気刺激に応じる視床への投射を電気生理学的実験によって明らかにしたうえで,同部位破壊後に,嚥下誘発を試みる.これにより,反射性嚥下誘発に関わる上位脳の関与の一端を明らかにする,3)上喉頭神経刺激に伴う自律神経活動の記録ならびに自律神経活動に関わる生体応答(血圧,心拍数,呼吸数など)と種々の周辺活動との関連を調べる.4)ヒトを対象とした電気生理学的実験では咽頭内電気刺激装置もしくは咽頭内微量蒸留水刺激法を用い,嚥下を惹起する末梢刺激時に口腔もしくは咽頭内へ種々の機械・化学刺激を与え,刺激様式やその認知が嚥下惹起のタイミングや嚥下活動パターンに生じる変化を調べる.以上の継続を図り,本年度中に動物実験,ヒト実験共に国際誌への論文投稿を行う.

次年度の研究費の使用計画

動物実験のプレパレーションに必要な実験室のセットアップに必要な天井つりさげ式無影灯を用意する.以降は,動物代,試薬代他の消耗品のために使用する.ヒト実験では,今年度は刺激様式の決定に時間を費やした.これが決定した次年度は,記録採取を開始して,電極その他の消耗品のために使用する.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Effects of pharyngeal electrical stimulation on the swallowing reflex and its possible clinical application2012

    • 著者名/発表者名
      Makoto Inoue
    • 雑誌名

      Rinsho Shinkeigaku

      巻: 52 ページ: 1192-1194

  • [雑誌論文] Differential involvement of two cortical masticatory areas in modulation of the swallowing reflex in rats2012

    • 著者名/発表者名
      Takanori Tsujimura, Kohjun Tsuji, Sajjiv Ariyasinghe, Takako Fukuhara, Aki Yamada, Hirokazu Hayashi, Yuki Nakamura, Koichi Iwata, Makoto Inoue
    • 雑誌名

      Neuroscience Letters

      巻: 528 ページ: 159-164

    • DOI

      10.1016/j.neulet.2012.09.005

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 嚥下機能にまつわる昨今の生理学的知見2012

    • 著者名/発表者名
      井上誠
    • 雑誌名

      新潟歯学会誌

      巻: 42 ページ: 1-12

  • [学会発表] 咽頭電気刺激がもたらす嚥下反射誘発効果と臨床応用への可能性2013

    • 著者名/発表者名
      井上誠
    • 学会等名
      第36回日本嚥下医学会総会ならびに学術講演会
    • 発表場所
      京都(招待講演)
    • 年月日
      2013-03-01
  • [学会発表] 咽頭への電気刺激が嚥下誘発に与える効果の検証2012

    • 著者名/発表者名
      塚野英樹, 林宏和, 谷口裕重, 真柄仁, 井上誠
    • 学会等名
      第17・18回日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20120830-20120901
  • [学会発表] Effects of pharyngeal electrical stimulation on swallowing in healthy humans2012

    • 著者名/発表者名
      Makoto Inoue
    • 学会等名
      2nd International Conference on Food Oral Proces sing - Physics, Physiology, and Psychology of Eating
    • 発表場所
      Beaune, France
    • 年月日
      20120701-20120705
  • [学会発表] 超高齢社会を見据えた咀嚼・嚥下の生理学2012

    • 著者名/発表者名
      井上誠
    • 学会等名
      第54回歯科基礎医学会学術大会・総会・日本学術会議主催シンポジウム
    • 発表場所
      郡山(招待講演)
    • 年月日
      2012-09-16
  • [学会発表] 咽頭電気刺激がもたらすヒト嚥下誘発促進効果の臨床応用への期待2012

    • 著者名/発表者名
      井上誠
    • 学会等名
      第53回日本神経学会学術大会
    • 発表場所
      東京(招待講演)
    • 年月日
      2012-05-24

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公開日: 2014-07-16  

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