研究概要 |
本年度の研究目的は実験(1):連通多孔性ハイドロキシアパタイトにチタン製インプラントを組み入れた複合インプラントの作製,実験(2):bFGF・ポリリン酸を導入した機能性インテリジェント人工骨の骨形成促進効果の検討である.実験(1)は,インプラント・アパタイト複合体を試作し,動物大腿骨内へ埋入を行い(control;チタン製インプラント),観察期間2,3および6カ月におけるオッセオインテグレーションならびインプラント支持に対する評価を光学顕微鏡による観察,骨・インプラント接触率(BIC)の測定および共振周波数測定法によるインプラント安定係数(ISQ)の測定を行った.実験(2)はポリリン酸を結合させた連通多孔性ハイドロキシアパタイトにbFGFを導入した機能性インテリジェント人工骨を作製し,動物大腿骨へ埋入を行い(対照群;ポリリン酸またはbFGFを導入させた連通多孔性ハイドロキシアパタイト),光学顕微鏡による観察および骨面積率の測定を行った. 実験(1):試作したインプラント・アパタイト複合体は観察期間2,3および6カ月においてインプラント界面でのオッセオインテグレーションが観察された.BICおよびISQの測定では観察期間3および6カ月の値は,contro1群と同等であった.一方,観察期間2カ月ではcontro1群と比較してBICおよびISQは有意に低い値となった.実験(2):埋入2週において機能性インテリジェント人工骨の骨面積率は対照群に対して有意に高い値を示した.以上より,試作したインプラント・アパタイト複合体は埋入から3カ月以降より優れたインプラント支持を示すこと,機能性インテリジェント人工骨は優れた骨形成を示すことが明らかとなり,これらを組み合わせることで骨形成・インプラント支持を促進させる機能性インテリジェント複合インプラント材の開発に向けての有用な知見を得た.
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