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2012 年度 実績報告書

歯の発生における歯数制御機構の解明と再生医療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 24390441
研究種目

基盤研究(B)

研究機関東北大学

研究代表者

中村 卓史  東北大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (90585324)

研究分担者 阪井 丘芳  大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (90379082)
齋藤 正寛  東京理科大学, 基礎工学部, 准教授 (40215562)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード歯原性上皮細胞 / エピプロフィン / 転写因子 / Wntシグナル / 歯の発生 / 細胞分化
研究概要

本研究では、新規転写因子エピプロフィン(Epiprofin, Epfn)の歯原性上皮細胞の増殖と分化、そして歯胚の組織発生過程での歯数制御における役割と作用機構の解明を目的としている。初年度の目標は、細胞実験を中心に研究を進めながら、WntシグナルのレポーターマウスであるBAT-Galマウス(Wntの活性化領域をbeta-Galで可視化するモデルマウス)とEpfn KOあるいはK5-Epfnとの交配、繁殖を行う事であったが、Epfn KOならびにK5-Epfnの繁殖が順調に進まなかったので、研究に用いるだけの十分なマウスの数を確保できなかった。このため、歯原性上皮細胞を用いた細胞実験を中心に研究を進めた。Epfn KOマウスでは、多数の過剰歯形成を認め、その組織学的解析から、上皮の分化阻害によって、未分化状態の歯原性上皮の断続的活性化が生じていることが示唆された。最近の論文報告で、上皮の活性化にWntシグナルが関与している事が分かっているため、Epfnがどの様にWntシグナルに作用しているのかを解析した。その結果、Canonical WntシグナルをモニターできるTOP flashベクターを歯原性上皮細胞に導入し、Epfn存在、非存在下でのTOP flashのレポーター活性を評価した。その結果、Epfnは歯原性上皮細胞において、Canonical Wntシグナルを活性化させることが明らかとなりました。一方、恒常的にWntシグナルを活性化させた状態でのEpfnの役割を検討した。恒常的にWntシグナルを活性化させるために、BIO(GSK3 beta阻害剤)を用いた。BIOは歯原性上皮細胞のCanonical Wntシグナルを強力に活性化した。興味深いことに,Epfnを強制発現させた細胞群では、BIOによって増強されたWnt活性が半減されていた。つまり、EpfnはWntシグナルの調節因子と働いていることが示唆された。このため、Epfn KOマウスでは、EpfnによるWntシグナルの負の制御が破綻しているため、歯原性上皮のWnt活性が持続し、その結果多数の過剰歯を形成し続ける事が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

WntシグナルのレポーターマウスとEpfn KOならびにK5-Epfnの掛け合わせは、マウスラインの繁殖能力の低下のため十分な数は得られなかった。しかしながら、細胞を用いた実験は、当初の計画以上に進展し、Epfnの歯原性上皮細胞における機能解明に直結する結果を得た。

今後の研究の推進方策

WntシグナルのレポーターマウスとEpfn KOならびにK5-Epfnの掛け合わせは、継続して行っていく。同時に、細胞や歯胚の器官培養を用いた研究を取り入れ、Epfnの上皮に枝分かれ制御機構も検討することにより、Epfnによる歯数制御機構の解明を試みる。

次年度の研究費の使用計画

細胞やEpfn KOやK5-Epfnの発生歯胚を用いた歯胚の器官培養を行い、マイクロアレーにて包括的な遺伝子プロファイルを行い、Epfnのターゲット分子や機能発揮に関する分子機構の解明を進める。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] Wnt5a signaling is a substantial constituent in bone morphogenetic protein-2-mediated osteoblastogenesis2012

    • 著者名/発表者名
      Nemoto, E., Ebe, Y., Kanaya, S., Tsuchiya, M., Nakamura, T., Tamura, M., and Shimauchi, H
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 422(4) ページ: 627-632

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2012.05.039

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Epiprofin/Sp6 regulates mesenchymal Wnt-BMP signaling, and the establishment of cellular junctions during the bell stage of tooth development2012

    • 著者名/発表者名
      Ibarretxe, G., Aurrekoetxea, M., Crende, O., Badiola, I., Jimenez-Rojo, L., Nakamura, T., Yamada, Y., and Unda, F.
    • 雑誌名

      Cell and Tissue Research

      巻: 350(1) ページ: 95-107

    • DOI

      10.1007/s00441-012-1459-8

    • 査読あり
  • [学会発表] 歯の発生におけるスフィンゴ糖脂質の役割2012

    • 著者名/発表者名
      千葉 雄太、中村 卓史、成瀬 正啓、池内 友子、新垣 真紀子、福本 敏
    • 学会等名
      第54回歯科基礎医学会学術大会総会
    • 発表場所
      郡山
    • 年月日
      20120915-20120916
  • [学会発表] エピプロフィンノックアウトマウスモデルの解析2012

    • 著者名/発表者名
      中村 卓史
    • 学会等名
      第54回歯科基礎医学会学術大会総会
    • 発表場所
      郡山(招待講演)
    • 年月日
      20120915-20120916
  • [学会発表] Pannexin 3, a gap junction protein, regulates odontoblast differentiation2012

    • 著者名/発表者名
      Iwamoto, T., Ishikawa, M., Yoshizaki, K., Yamada, A., Nakamura, T., Yamada
    • 学会等名
      The American Society For Biochemistry and Molecular Biology
    • 発表場所
      Iguacu Falls, Brazil
    • 年月日
      20120620-20120623
  • [学会発表] Pannexin 3, a Gap Junction Protein, Regulates Proliferation through AMPK Pathway in Odontoblasts2012

    • 著者名/発表者名
      T.Iwamoto, M. Ishikawa, K. Yoshizaki, T. Nakamura, A. Yamada, Y. Yamada and S. Fukumoto.
    • 学会等名
      The American Society For Biochemistry and Molecular Biology
    • 発表場所
      San Diego, USA
    • 年月日
      20120421-20120425
  • [学会発表] 乳歯歯髄を用いた再生医療における課題について2012

    • 著者名/発表者名
      二木かおり、山田亜矢、新垣真紀子、岩本勉、中村卓史、福本 敏
    • 学会等名
      第31回小児歯科学会中部地方会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2012-11-25
  • [学会発表] 歯科再生利用実現化を目指した新しい分子機能予測法開発2012

    • 著者名/発表者名
      及川友子、只木麻友、成瀬正啓、新垣真紀子、岩本勉、山田亜矢、中村卓史、福本敏
    • 学会等名
      第31回小児歯科学会中四国地方会
    • 発表場所
      高松
    • 年月日
      2012-11-04
  • [学会発表] フィラミンAによる歯根形成メカニズムの解析2012

    • 著者名/発表者名
      宮本 綾子、山田亜矢、岩本勉、中村卓史、福本敏
    • 学会等名
      第50回小児歯科学会学術大会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012-05-12
  • [学会発表] エナメル芽細胞分化過程におけるテトラスパニンCD9の発現2012

    • 著者名/発表者名
      岩本勉、小野真理子、二木正晴、菅原優、山田亜矢、中村卓史、福本敏
    • 学会等名
      第50回小児歯科学会学術大会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012-05-12

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公開日: 2014-07-16  

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