研究課題
過剰歯や欠損歯など歯数異常を主訴とした外来患者が増加している。哺乳類の場合、進化に伴い歯数が減少していく傾向にあることは知られているが、歯の発生過程における歯数制御の分子機構は不明な点が多い。我々が同定したエピプロフィン/Sp6(Epiprofin, Epfn)はSpファミリーに属する転写因子で、発生初期の歯原上皮に発現し、その後内エナメル上皮に限局して発現する。我々はEpfnの同定、機能解析さらに遺伝子欠損マウス(Epfn KO)やトランスジェニックマウス(K5-Epfn)を作成し解析を進め、歯の発生におけるEpfnの機能は、1,歯原性上皮細胞の一過性増殖促進と分化誘導作用、2,エナメル基質遺伝子の発現誘導、3,歯数の制御、4,歯冠歯根の形態形成、5,歯原性上皮の枝分かれ、6,歯原性上皮細胞のアポトーシス、など歯胚発生に重要な機能を発揮している事を明らかになった。さらに、一部報告済みであるが、皮膚、四肢、毛根、性器副甲状腺に発現しているEpfnが、各組織の形態形成や組織発生や機能に重要な役割を演じていることも明らかとなってきた。最近、副甲状腺に発現するEpfnが、副甲状腺ホルモンの産生を調節し、生体のカルシウムの恒常性と骨代謝にも関与している事が判明した。歯数制御に関しては、Epfn KOの解析により、歯原性上皮細胞の分化阻害に加え、細胞の増殖活性とアポトーシスの低下に起因し、ゆっくりと持続的な上皮の間葉組織への陥入と枝分かれにより引き起こされている事が示唆された。この現象を、ケラチノサイトを用いて解析した結果、Epfnは幹細胞から産生されるTransit Amplifying 細胞の増殖時、細胞周期調節因子としてG1/S移行に関わり、さらには細胞分裂を停止させ、Notchシグナルを介して、細胞の運命決定に関与していることが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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