研究概要 |
本研究の目的は,チタンインプラントにナノスケールの親水性ハイドロキシアパタイト(田)コーティングを処理し,骨結合能と抗菌性を両立することである.ハンクス処方の人工体液中でチタンプレートを陰極とし対極に白金プレートを用いて液中放電処理を行うことにより,チタンプレート表面にハイドロキシアパタイトのナノ結晶を傾斜的に析出させることができる.In vitroで細胞培養した試料上に析出する石灰化物の物理化学的特性を顕微ラマン分光およびAFMナノインデンターにより測定した.また高分解能のラマン分光法により,サンプル表面の石灰化物から検出したアミド結合に帰属するピークを微分することにより,有機成分であるコラーゲン分子の架橋結合を定量化することが可能になった.またナノインデンテーション法では,石灰化物表面に圧子を低加重で段階的に作用させ,表面に形成された圧痕(インデント)と荷重-負荷曲線から,微小領域の硬さと弾性係数および応力ひずみ曲線を測定することが可能であり,石灰化物の物性を骨の特性と比較した.液中放電処理でHA薄膜コーティング処理したチタンプレートのin vitroでの抗菌試験および細胞培養試験を行った.HA薄膜コーティングチタン,高密度焼結アパタイト,および研磨チタンを試料として用い,歯肉縁上プラーク細菌(Streptococcus Mitis,Streptococcus Gordonii,Streptococcus mutans,Streptococcus salivarius,Streptococcu ssobrinus)をサンプル上で嫌気培養した.培養後のサンプルを血液寒天培地に浸漬し,さらにインキュベータで培養後のコロニー数をカウントすることで抗菌効果を検討した.
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