研究課題
現在、口腔インプラントを骨粗鬆症患者,特に老齢患者へ適用するために、インプラント周囲母床骨を改善する治療法が求められている。その中で、骨形成能を有するとされるスタチンの臨床応用が期待されているが、スタチンの種類は数多くあり、それらの至適濃度、局所投与法、徐放性制御技術が定まっていない。また、増生された骨がインプラント埋入に必要な骨質(強度)を有しているかについての検討も行われておらず、本剤の有効性を確認するまでには至っていない。本研究は、上記問題点を一つ一つ検証して、母床骨の改善に有効なスタチン徐放システムを見出すことにより、新機軸「母床骨改善型インプラント」を開発することを目的とした。その第一の成果は、スタチン系薬剤の1つであるフルバスタチンとゼラチンハイドロゲルを用いて薬剤徐放システムの開発を行い、フルバスタチン含有ゼラチンハイドロゲルスポンジの薬剤徐放のメカニズムと骨形成を促進する効果が明らかとなり、本剤の局所投与の有効性が明らかになったことである。第二の成果は、骨粗鬆症特に低代謝型の老人性骨粗鬆症モデルラットに、フルバスタチン・ゼラチンハイドロゲル複合体を応用し、フルバスタチン局所投与が骨形成に及ぼす効果を評価した結果、フルバスタチンの至適濃度が明らかになったことである。すなわち、正常のラットにおける骨代謝に効果的なフルバスタチン濃度と比較して、低代謝型の老人性骨粗鬆症モデルラットでは低濃度でより効果的あることが明らかになった。以上より、フルバスタチン・ゼラチンハイドロゲル複合体を利用した局所投与は、低代謝型骨粗鬆症に有効であることが明らかとなり、新機軸「母床骨改善型インプラント」の開発の一助になったと考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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