研究概要 |
1.ヒト歯髄細胞幹細胞の採取 本年度は,ほとんどの症例で抜歯される過剰歯を,10本回収することができたので,その10本の正中埋伏過剰歯から歯髄を採取し,歯冠部と歯根部に分離して,細胞を獲得後,それぞれの細胞群を間葉系幹細胞のパラメータを用いて解析すると,表面抗原の一つであるCD105が,過剰歯からの間葉系幹細胞の採取に有効であることを見出した。 2.ヒト歯髄間葉系細胞に適した新規担体の開癸 ハイドロキシアパタイト添加の有無と気孔径の異なる4種類のポリ乳酸を基材としたブロック(担体)を作製した。 3.象牙質塊の再生 象牙質再生に有効なブロックを明らかにするために,培養した歯髄細胞を各ブロックに播種して,免疫不全マウスの背部皮下に移植した。移植16週後に担体を取り出して,マイクロCTによる解析は終了した。マイクロCTによる結果を解析すると,気孔率90%のブロックは,早期に吸収することが分かった。気孔率80%の担体は,移植16週が経過しても,もともとの形態は大きく変化していなかった。しかし,組織が形成される空間が少ないことから,組織の成熟度は,気孔率が高いほど,硬い組織ができることが分かった。したがって,気孔率が異なると再生する組織の性質も異なることが分かった。 現在,組織学的解析および免疫化学的解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記入した今年度の3つの目標のうち,最初の二つはほぼ終了し,3つ目の課題についても,実験は終了し,組織学的解析のみが残っているのみであることから,おおむね順調に進展していると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,初年度に行った移植実験における再生組織の評価を行うことで,本課題の最も重要な時期となる。そこで,実験を推進させるために,実験補助を雇用する。また,歯周組織再生に有効となる細胞源についても,課題に記載した細胞のみだけではなく,歯以外の組織由来に細胞も用いることで,大きな成功を導きたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
移植期間を最長16週間の観察期間としたことから,初年度に予定して組織学的評価が,次年度に繰り越されたために,その研究経費においても繰り越すこととなった。したがって,繰り越された分については当初の予定通り,組織学的解析および免疫組織化学的解析に使用する試薬と標本作成の経費とし,変更はない。ま他,今年度においても,研究費の要との大きな変更は行う必要もなく,推進予定である。
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