研究課題/領域番号 |
24390449
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
武川 寛樹 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80173558)
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研究分担者 |
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
川上 浩司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70422318)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 臨床腫瘍学 |
研究概要 |
研究の目的 口腔癌の治療成績の向上には,浸潤・転移等,癌の進展にかかわる腫瘍生物因子を同定し,それらの因子を標的とした新しいバイオ療法を開発することが臨床上の重要な課題である.現在,癌細胞の標的分子に特異的に結合するリガンドペプチドと,殺傷効果を有する膜溶解ペプチドを結合させた新しいペプチド療法を開発し,その抗腫瘍効果と安全性について調べ,早期の臨床応用を目指すことを目的とする.今回口腔癌にとどまらず、胆道癌に関してもその有用性を示した.これまでヒト胆道癌にinterleukin-4 receptor(IL-4R)が高発現していることが確認されており,IL-4Rに,緑膿菌外毒素のPseudomonas Exotoxin(PE)を結合したIL-4受容体標的サイトトキシン(IL-4-PE)が,ヒト胆道癌に対する強力な抗腫瘍効果が示された. 研究実施内容 1,胆道癌細胞株5種類(TBBC-1-TKB,TGBC-44-TKB,KKU-100,KMBC,SK-1,CCKS-1)に,キメラペプチド療法の標的となり得る腫瘍表面分子IL-4Rに着目した.各標的分子の発現レベルをウェスタンブロット法解析し,胆道癌細胞株において,IL-4受容体が発現していることが明らかとなった. 2,IL-4Rに対するキメラペプチドを用いて,胆道癌細胞への抗腫瘍効果をin vitro, in vivoの系にて検討した.0~20μMの各培地濃度で24時間培養し,腫瘍細胞における抗腫瘍効果を判定し,正常細胞より癌細胞に抗腫瘍効果を認め,マウスの皮下腫瘍モデルにおいても,濃度依存性に抗腫瘍効果を確認した.また,キメラペプチド投与に際して,マウスの有害事象は認めなかった. 3,さらに,胆道癌のファーストラインの治療薬とされているゲムシタビンとの併用効果で相乗効果がみられることも明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で,口腔癌および胆道癌におけるIL-4Rを標的としたキメラペプチドの有用性を,細胞・動物レベルで確認した. 今後は,口腔癌、胆道癌の特徴に注目し,マウスの同種移植、転移モデルにての有用性を検討することを予定しているが,残りの研究期間内で十分に遂行できると考える.
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策)マウスで口腔癌、胆道癌の同種移植,転移モデルを作製し,キメラペプチドの抗腫瘍効果を検討する.また,口腔癌において,IL-4R以外で、キメラペプチドの標的となり得る分子を検索する.
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