研究課題/領域番号 |
24390457
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中城 公一 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90314880)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 口腔癌 / microRNA |
研究概要 |
近年、種々の癌においてその悪性形質に関与するmicroRNA(miRNA)が明らかにされている。そこで、本研究ではヒト口腔癌細胞の増殖に関与するmiRNAを探索した。ヒトmiRNA knockdownおよびoverexpression libraryをヒト口腔癌細胞に導入し、その細胞増殖活性を評価した。次に、細胞増殖に影響を与えるmiRNAの口腔癌組織における発現量をRT-PCR法にて定量し、さらにマイクロアレイ解析とIngenuity Pathway Analysisを用いて標的遺伝子を探索した。ヒトmiRNA918種類に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた網羅的機能阻害解析では、ヒト口腔癌細胞の増殖を支持するmiRNAとしてmiR-361-3PとmiR-133a/bを同定した.特に、miR-361-3pは正常口腔粘膜と比較して口腔扁平上皮癌組織において発現亢進が認められ、その標的遺伝子としてodd-skipped related 2を同定した。一方、ヒトmiRNA 1,000種類の模倣型合成miRNAを用いた網羅的過剰発現解析では、ヒト口腔癌細胞の増殖を抑制するmiRNAとしてmiR-629*とmiR-1289を同定した。これらmiRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび模倣型合成miRNAは、口腔癌患者由来初代培養細胞に対しても著明な増殖抑制効果を示した。以上の結果は、ヒト口腔癌細胞の増殖を制御するmiRNAは存在し、これらは口腔癌の診断や治療に応用できる可能性を有している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト口腔癌細胞ヌードマウス背部皮下移植腫瘍に対するmiRNAアンチセンスオリゴヌクレオチドの抗腫瘍効果が確認できない。合成miRNAやsiRNA同様に何らかの送達担体が必要である。アテロコラーゲンおよびリポソームを担体として用いる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
miRNAアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび合成miRNAを生体内腫瘍に選択的に送達可能な担体を検討する。 また、miRNAの網羅的発現解析に次世代シーケンサーを用いる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
われわれが今までに同定している全ての口腔癌関連miRNA(63種類)のヒト血清および唾液中の存在量をリアルタイム定量化RT-PCR法にて定量する。
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