研究課題/領域番号 |
24390459
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
藤内 祝 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50172127)
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研究分担者 |
光藤 健司 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (70303641)
岩井 俊憲 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (00468191)
大島 まり 東京大学, 情報学環, 教授 (40242127)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 動注化学療法 / 血流シミュレーション / 流体解析 / オーダーメイド |
研究概要 |
本研究の目的は口腔癌患者個々に最適なカテーテル留置法や抗癌剤投与量を治療前に決定するために,患者固有の画像データを用いた流体解析シミュレーションによるオーダーメイド動注化学療法を開発することである.本年度もH21~23年度の科学研究費補助金基盤研究(B)にてわれわれが開発してきた動注化学療法のための外頸動脈とその分枝の高精度な血流シミュレーション手法を基盤として行った.まず,分岐の存在する腫瘍栄養動脈(舌・顔面動脈共通幹や顎動脈(下歯槽動脈)など)を有する口腔癌患者の頸動脈のCT angiography(CTA)データを用いて,ソフトウェア(Mimics)で具体的には頸動脈3D モデルを作製し,流体解析可能な表面メッシュを3Dモデル上に作製(3-matic)した.次に,われわれが開発してきた外頸動脈の血流シミュレーション手法(末梢血管モデルの導入)を基盤とし,頸動脈エコーから得られた頸動脈の流速と画像構築した3D血管モデルを用いてソフトウェア(ANSYS)上で流体解析を行い,カテーテル未留置状態で腫瘍栄養動脈の分岐によりどのように血流が分配されるか血流シミュレーションを行った.さらに,カテーテルをソフトウェア上で構築して,カテーテルを留置した状態で血流シミュレーションを行った.本年度は複数の患者で血管モデルを構築し,さらにカテーテルの留置位置やカーテテル先端の角度によって血流シミュレーションがどのように変化するのかについて検討した.舌動脈分岐部より下方にカテーテルを留置しても,舌動脈へ流れる血流が少ないことが血流シミュレーションによって明らかになった.この結果は臨床的な治療効果に即しており,舌癌に対しては舌動脈へのカテーテルの超選択的な留置が必須であると思われた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに開発してきた血流シミュレーションをベースにソフトウェア上で作製したカテーテルを血管モデル内に複数の条件にて留置し,抗癌剤の分配予測のための血流シミュレーションのベースが構築できつつあるため.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発してきた血流シミュレーションをベースにソフトウェア上で作製したカテーテルを血管内に留置したうえで,抗癌剤の分配予測のための血流シミュレーションを複数のモデルで行って,オーダーメイド動注化学療法を開発していきたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
購入予定の機器やソフトウェアなどが海外より年度内に購入できなかったことと,予定の国際学会への出張を取りやめたため,次年度への研究費の繰り越しが生じた. ソフトウェアや機器購入費用や保守契約費用,成果報告の学会旅費,英文校正,論文別冊代などに研究費を使用する予定である.
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