研究課題
口腔組織に由来する発生器官として、歯と唾液腺に着目し、その中でも細胞間結合分子の1つであるギャップ結合分子による発生制御メカニズムの解明を目的とし研究を進めている。これまで歯の上皮細胞分化においてギャップ結合分子であるコネキシン43が、TGF-b1やBMP2によって活性化されるERK1/2のリン酸化を制御している事を明らかにし、この分子シグナルが最終的にエナメル質形成に関わるエナメル芽細胞の分化誘導に必須であることを見いだした。また、同様の制御はFGF10による唾液腺分岐形成についても明らかとなった。そこで本年度では、唾液腺分岐形成過程におけるコネキシン43の役割解明について検討を行った。唾液腺において、上皮から分泌されるPDGF-AAが唾液腺間葉に作用し、唾液腺間葉から二次的に分泌されるFGF10が、唾液腺上皮の増殖を制御し、唾液腺の発生が進行する。この過程においてコネキシン43は、唾液腺上皮に発現しており、間葉組織にけるERK1/2のリン酸化には関与しないが、上皮細胞におけるERK1/2のリン酸化を制御していた。さらに唾液腺上皮細胞においてはコネキシン43が、増殖因子刺激後の細胞内カルシウムを増大させ、そのカルシウムレベルがある一定の閾値を超えると、ERK1/2をリン酸化し、分岐を促進することを見いだした。コネキシン43を阻害すると、この細胞内カルシムの上昇が認められず、細胞の増殖が低下した。このことから、細胞同士がギャップ結合を介して緊密に接していることが、組織の分化を促進する事に繋がることが解った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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