研究課題/領域番号 |
24390462
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高橋 一郎 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (70241643)
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研究分担者 |
寺尾 文恵 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (10510018)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 発生・分化 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / ストレス / 下顎頭軟骨 |
研究概要 |
顎関節はヒトの顔の成長発育ならびに咀嚼機能を支える最も重要な器官のひとつである。これまでに我々は、下顎頭軟骨の成長発育ならびに一次軟骨細胞の機械的刺激応答の分子メカニズムについて、四肢胚由来間葉系幹細胞をモデルとして機械的刺激応答の分子機構について検討してきた。本研究においては、下顎頭軟骨に直接焦点を当て、これまで検討してきた一次軟骨と比較しながら下顎頭軟骨の細胞分化と分化形質維持のための分子機構と、これに対して機械的刺激応答分子が果たす役割について網羅的に検討する。これらの検討により、顎顔面の成長発育に下顎頭軟骨が果たす役割と機械的刺激からの影響、および過重負荷に伴う下顎頭軟骨破壊の分子メカニズムの解明に挑戦する。 下顎頭胚を用いた実験に先立ち、ラット胎齢12日の四肢胚を採取し、シリコンを底面に持つculture dish上に分散した細胞を播種し、10%FBS添加DMEM培地にて培養した。軟骨細胞の初期分化に対する機械的刺激の影響を検討するために、播種後3日目に細胞に伸展力を負荷した。機械的刺激負荷におけるインテグリンとExtracellular-regulated kinase(ERK)シグナルの活性化との関係を調べるため、インテグリンの阻害剤であるGRGDSPKペプチドの添加実験を行った。機械的刺激によってERKシグナルの活性化が起こるが、インテグリンの阻害によりERKシグナルの活性化が抑制された。これまでに我々はERKシグナルが軟骨細胞の初期分化抑制的に働くことを報告していることから、ラット四肢胚において、機械的刺激はインテグリンを解した細胞-細胞外基質間接着を解してERKシグナルの活性を制御していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラット四肢胚における条件設定がほぼ終了し、下顎頭胚を用いた実験系の確立に取りかかれるため。
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今後の研究の推進方策 |
胎齢16日齢の下顎頭胚を用いて機械的刺激負荷実験を行い、マイクロアレイ解析を行う。下顎頭軟骨の細胞分化あるいは形質維持に影響を与える転写因子に注目し、一次軟骨と二次軟骨において差異が認められた分子について、in situ hybridization法を用いて発現の局在を検討する。次に、一次軟骨と二次軟骨において差異が認められた分子について遺伝子の機能の解析を行う。胎齢16日のSDラットより下顎頭胚を採取し、器官培養を行う。器官培養を行った下顎頭軟骨に対してsiRNAの導入により、遺伝子機能を解析する。siRNAにより遺伝子発現を抑制した後、培養器官の組織学的変化について、ISH方を含めて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マイクロアレイ解析を次年度に行うこととした。
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