研究課題/領域番号 |
24390471
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
日野出 大輔 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70189801)
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研究分担者 |
伊賀 弘起 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40175188)
吉岡 昌美 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90243708)
川添 和義 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (00248296)
吉田 賀弥 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (60363157)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 漢方薬 / 食道がん / 口腔粘膜炎 / 口腔保健管理 / 専門的口腔ケア / 抗癌剤 / 細胞死 |
研究概要 |
1.基礎研究 1)漢方薬の口腔内細菌への影響,炎症性サイトカイン産生に対する抑制効果の検証:漢方薬および生薬成分の歯周病性細菌の増殖や毒性因子,宿主細胞に及ぼす影響を調べた結果,大黄を含む漢方薬は細菌の宿主細胞に対する接着やプロテアーゼ活性を阻害し、歯周病コントロールに有効である可能性が示された。 2)漢方薬の口腔粘膜炎発症抑制メカニズムの解明:ヒト歯肉由来細胞Sa3を用い、抗癌剤5-FUに対する漢方薬の影響を調べた結果,Caspase-1を介する細胞死をTJ-84(大黄甘草湯)およびTJ-14(半夏瀉心湯)は抑制することが明らかとなった。また、TJ-84はSa3から炎症性サイトカインの1つであるTNF-αのmRNA産生を抑制した。 2.臨床研究 1)がん治療患者等に対する口腔粘膜炎の発症に関する予備調査:患者・家族を対象に,専門的口腔ケアに対する理解度や期待することを調査した結果,ケアに対する認知度が低いと期待度も低く,患者家族を含めた一般住民の専門的口腔ケアに対する理解や認知度を高める必要性が示唆された。食道がん患者を対象に,周術期の口腔内環境の変化と食事形態の関連性を調査した結果、安静時唾液量は有意に低下するが、経口摂取が開始しても数日では回復しないこと、周術期にPlaque Indexは有意に低下するが、経口摂取で数日のうちに上昇することが示された。 2)臨床応用への予備的研究:舌苔に含まれる歯周病原菌と口臭パラメーターの関連性が確認され、ミラーによる口腔乾燥の評価と水分計による粘膜湿潤度の測定値は相関することが確認できた。3)入院患者への臨床試験:食道がん化学療法にて本院入院患者を対象にTJ-84およびTJ-14を用いた漢方シャーベットの服用を同意の得られた入院患者に実施する。そのための倫理申請書類を徳島大学病院倫理審査委員会に提出し、介入研究実施の承認を得た。次年度早々より具体的な臨床研究を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた1.基礎研究 1)漢方薬の口腔内細菌への影響,炎症性サイトカイン産生に対する抑制効果の検証、および2)漢方薬の口腔粘膜炎発症抑制メカニズムの解明は、順調に進展している。 2.臨床研究 1)がん治療患者等に対する口腔粘膜炎の発症に関する予備調査、および 2)臨床応用への予備的研究についても幾つかの知見を得た。3)入院患者への臨床試験では、倫理審査委員会の承認を得て平成26年度より具体的な臨床研究を開始できる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は3)漢方薬を用いたがん患者への臨床試験を加速して進めていくと共に、漢方薬の口腔粘膜炎発症抑制メカニズムの解明を更に進める。基礎研究で得られた知見を学会および学術論文として報告していく予定である。 尚、炎症性サイトカイン測定の一部が年度内に終了せず、次年度に繰り越されたが、平成26年度中には同測定は完遂出来る見込みであり、他の研究計画の遂行にも大きな支障はない。
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次年度の研究費の使用計画 |
炎症性サイトカイン測定の一部が年度内に終了せず、次年度に繰り越されたため、同測定試薬の購入に至らず、一部経費が繰り越された。 平成26年度中には、炎症性サイトカイン測定用試薬を購入し、これを使用して炎症性サイトカイン測定は完遂出来る見込みであり、他の研究計画の遂行にも大きな支障はない。
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