研究課題/領域番号 |
24390471
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
日野出 大輔 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70189801)
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研究分担者 |
伊賀 弘起 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40175188)
吉岡 昌美 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90243708)
川添 和義 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (00248296)
吉田 賀弥 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (60363157)
土井 登紀子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (70747683)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 漢方薬 / 食道がん / 口腔粘膜炎 / 口腔保健管理 / 専門的口腔ケア / 抗がん剤 / 細胞死 |
研究実績の概要 |
1.基礎研究:漢方薬による口腔粘膜炎発症抑制メカニズム解明のため、ヒト歯肉癌由来細胞株Sa3細胞を用い、抗癌剤5-FUが誘導する細胞死の機序を活性酸素(ROS)やインフラマソーム(NLRP3)に着目して研究を行った。その結果、Sa3細胞において、5-FUはLDH放出や細胞膜ポアを伴う細胞死を促進し、NLRP3を活性化した。5-FUによる細胞死やLDH放出の亢進は、NLRP3 siRNAにより減少した。5-FUはミトコンドリア膜電位差を低下させ、ROS産生を促進した。大黄甘草湯(TJ-8)を前処理すると、細胞死、LDH放出、caspase-1切断、ミトコンドリア膜電位差及びROS産生に対する5-FUの影響は抑制された。以上より、5-FUがNLRP3やROSを介して細胞死を引き起こし、TJ-84がそれを抑制することが判明した。上記のようにTJ-84が癌治療患者の口腔粘膜炎の治療に有効である可能性が示され、この結果を学術雑誌PLOS ONEに報告した。 2.臨床研究 1)徳島大学病院血液内科にて造血幹細胞移植を受けた患者を対象に,全身放射線照射の有無,口腔粘膜炎のGrade,臨床検査所見との関連性を調べた。また,移植時期により専門的口腔ケア体制確立前群と確立後群に群分けして調べた。分析の結果,全身放射線照射群は口腔粘膜炎のGradeが高いことが示され、専門的口腔ケア体制確立後群にはGrade 3以上の者は存在しなかった。これらの結果から,造血幹細胞治療における全身放射線照射が口腔粘膜炎発現に強く影響すること,また専門的口腔ケア体制の確立により重症口腔粘膜炎の発現を減少させる可能性が示唆された。 2)入院患者への臨床試験:食道がん化学療法を目的として同意の得られた入院患者21名を対象にTJ-84および半夏瀉心湯(TJ-14)を用いた漢方シャーベットの服用に関する介入研究を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた基礎研究において、漢方薬の口腔内細菌への静菌作用,細胞付着・侵入阻害作用の検証および漢方薬の口腔粘膜炎発症抑制メカニズムの解明は、順調に進行している。 また、臨床研究において、がん治療患者等に対する口腔粘膜炎の発症に関する調査および臨床応用への予備的研究についても幾つかの知見を得ることができた。更に,入院患者への臨床試験では、倫理審査委員会の承認を得て平成26年度より具体的な臨床研究を開始している状況である。 以上の内容から、本研究はおおむね順調に遂行できていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、臨床研究として、漢方薬を用いたがん患者への臨床試験を加速して進め、その効果について検証する予定である。 また、基礎研究としては、漢方薬の口腔粘膜炎発症抑制メカニズムの解明を更に進めて、得られた知見を学会および学術論文として報告していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床研究での漢方薬を処方予定の対象者数がやや少なかったため、平成27年度へ11,101円繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に漢方薬処方が割り付けられた対象者へ、薬剤及び溶解用の蒸留水を購入して漢方シャーベットを作成予定であり、計画の遂行に支障はない。
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