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2014 年度 実績報告書

看護師に対する倫理サポートのアクションリサーチ

研究課題

研究課題/領域番号 24390482
研究機関鹿児島大学

研究代表者

小西 恵美子  鹿児島大学, 医学部, 客員研究員 (70011054)

研究分担者 鈴木 真理子  佐久大学, 看護学部, 講師 (10281255)
八尋 道子  佐久大学, 看護学部, 教授 (10326100)
山下 早苗  鹿児島大学, 医学部, 講師 (40382444)
八代 利香  鹿児島大学, 医学部, 教授 (50305851)
足立 智孝  亀田医療大学, 看護学部, 准教授 (70458636)
前田 樹海  東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (80291574)
楠元 裕佳  鹿児島大学, 医学部, 助教 (10347106)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード看護学 / 倫理学 / 倫理サポート / 看護師 / アクションリサーチ
研究実績の概要

1.看護師とのワークショップ: H26年度は34回行った。従来どおり、日常の業務で遭遇している事例を看護師が書き、それを他の看護師と共有し、話し合った。結果の主な点:①看護師は通常、内的規範(共感性を含む徳性)で対応しているが、外的規範(倫理原則や看護倫理綱領など)を学ぶことで、新たな視点で問題に取り組み始める。その点において一段高いレベルの倫理的能力を身に付けたことになるが、他方で、外的規範に頼りすぎる弊害もある。外的規範に照らし行動することが、あたかも「倫理的」であるといった思い込みが強くなり、自身の内的規範とのすり合わせや試行錯誤を放棄する看護師も中にはみられる。内的規範と外的規範をどう組み合わせて対応するか、という指導・サポートが必要である。②医師等の他職種とともにワークショップを行うと、それぞれの職種の専門性が研ぎ澄まされているほど、彼らの内的基準は看護師にとっての外的基準として作用し、よりよい倫理的意思決定が導かれるという経験をしている。 2.看護部倫理委員会支援: 病院看護部は病院機能評価の影響もあり、看護部倫理委員会の設置は今や通例となり、ひとつの倫理委員会が研究倫理審査と臨床倫理の両機能をもつ例が多い。これは、諸外国と異なる日本独自の発展形態であり、研究および臨床倫理両面での倫理支援が大事であり、双方が相互作用して看護師をエンパワーし、倫理的能力の促進をはかることが重要である。 3.道徳的感受性尺度日本版の検討: 質問文を増やす、表現を変える、などを施して再調査を実施した。 4.原子力災害における看護師の倫理サポート:放射線の知識の欠如が地域の人々と関わる保健師の実践にもたらす影響を明らかにし、実践保健師および学部学生への放射線教育を行った。また、海外(フランス、オーストリア、台湾)の看護師放射線教育の状況を調査した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

・倫理サポートのための看護師ワークショップについて: 予定回数を超えて実施し、看護師の倫理的能力促進のために着目すべき要素への考察が深まった。また、多職種ワークショップも行い、知見を深めた。
・看護部倫理委員会支援について: 看護師ワークショップは看護部倫理委員会と協働で行っており、研究倫理と臨床倫理の両面で支援を行った。研究倫理については、米国の状況の調査から、臨床看護師の研究は本来のリサーチではなく、質向上、プログラム評価、あるいはエビデンスに基づく実践研究の範疇にあることが多く、倫理審査はfull reviewよりも軽度の簡易審査扱いであることがわかり、研究面での看護部倫理委員会支援の視点が明確になった。
・さらに、原子力災害復旧期における倫理サポート活動も行った。

今後の研究の推進方策

倫理的問題を含む状況において、看護師は多くの場合、相手との関係性で状況を見、感じ、行動する。これは、優しさや思いやりをもつ日本の看護師のケアの倫理とみることができ、ケアの受け手にとっては心地よく、日本の看護師の長所と考えることができようが、弱点でもある。なぜなら、相手との関係性のレンズは、その場面に存在する本当の倫理的問題を見る眼を曇らせるからである。現在の医療は、法や、無害、公平性等の外的倫理規範のレンズをもつことを看護師に求めており、今後ともこの視点で倫理サポートを行っていく。
また、原子力災害復旧期の現在、人間生活にゼロリスクはありえない、という視点での倫理サポートも行っていく。

  • 研究成果

    (22件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 図書 (7件)

  • [雑誌論文] 保健師と看護学生に対する放射線防護の教育2015

    • 著者名/発表者名
      小西恵美子
    • 雑誌名

      医療放射線防護

      巻: 72 ページ: 20-23

  • [雑誌論文] 臨地実習におけるハピネスの促進:3つのエピソードが示すもの2015

    • 著者名/発表者名
      中村光浩、鈴木真理子、八尋道子、前田樹海、小西恵美子
    • 雑誌名

      日本看護倫理学会誌

      巻: 7 ページ: 89-91

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 保健師と看護学生に放射線を教える・学ぶ:2つのアクションリサーチから2015

    • 著者名/発表者名
      小西恵美子、菊地透、麻原きよみ
    • 雑誌名

      保健師ジャーナル

      巻: 71(1) ページ: 78-82

  • [雑誌論文] 保健師と看護師の放射線教育2014

    • 著者名/発表者名
      小西恵美子
    • 雑誌名

      医療放射線防護

      巻: 70号 ページ: 49-52

  • [雑誌論文] 放射線災害からの復興支援における専門看護師の役割2014

    • 著者名/発表者名
      小西恵美子
    • 雑誌名

      日本放射線看護学会誌

      巻: 2 ページ: 55

  • [雑誌論文] 看護職の自然体、それと海外のradiology nursing2014

    • 著者名/発表者名
      小西恵美子
    • 雑誌名

      日本放射線看護学会誌

      巻: 2 ページ: 1-2

  • [雑誌論文] 健康課題としての放射線防護:自治体保健師が抱える住民支援困難とそこから見えてきた課題2014

    • 著者名/発表者名
      川崎千恵、小西恵美子、小野若菜子
    • 雑誌名

      保健師ジャーナル

      巻: 70(6) ページ: 538-541

  • [雑誌論文] 福島県A市の保健師と放射線防護専門家・公衆衛生看護研究者との協働実践-母子保健事業における実践モデル2014

    • 著者名/発表者名
      三森寧子,小西恵美子,大森純子,川崎千恵,菊地透
    • 雑誌名

      保健師ジャーナル

      巻: 70(9) ページ: 828-833

  • [雑誌論文] ベラルーシ視察報告から学ぶ2014

    • 著者名/発表者名
      大森純子、小西恵美子、麻原きよみ
    • 雑誌名

      保健師ジャーナル

      巻: 70(7) ページ: 626-630

  • [雑誌論文] 小児病棟における看護師のグリーフケアを目的としたカンファレンス2014

    • 著者名/発表者名
      山口京子、山下早苗、長澤芳、石神えり
    • 雑誌名

      小児がん看護

      巻: 9 ページ: 48-54

    • 査読あり
  • [学会発表] The Radiological Nursing and The Fukushima nuclear accident2015

    • 著者名/発表者名
      Emiko Konishi, Yoshiko Fukushima, Koji Yoshida.
    • 学会等名
      国連防災会議
    • 発表場所
      仙台(仙台市AER情報産業プラザセミナーホール(2))
    • 年月日
      2015-03-14 – 2015-03-18
  • [学会発表] 保健師基礎教育における放射線の授業に関する学生の学び2015

    • 著者名/発表者名
      永井智子,小西恵美子,麻原きよみ,小林真朝,小野若菜子,三森寧子
    • 学会等名
      第3回日本公衆衛生看護学会学術集会
    • 発表場所
      神戸(神戸国際会議場)
    • 年月日
      2015-01-10 – 2015-01-11
  • [学会発表] 臨地実習は辛い? 楽しい?: みんながhappyになる実習は存在するのか2014

    • 著者名/発表者名
      河野梢子、中村光浩、鈴木真理子、八尋道子、山下早苗、前田樹海、小西恵美子
    • 学会等名
      日本看護倫理学会 第7回年次大会
    • 発表場所
      名古屋(ウインクあいち)
    • 年月日
      2014-05-24 – 2015-05-25
  • [学会発表] 看護師の優しさと倫理的責務2014

    • 著者名/発表者名
      小西恵美子、山下早苗. 2014-5-25倫理学会名古屋
    • 学会等名
      日本看護倫理学会 第7回年次大会
    • 発表場所
      名古屋(ウインクあいち)
    • 年月日
      2014-05-24 – 2014-05-25
  • [学会発表] 小児看護学実習における倫理カンファレンスの導入2014

    • 著者名/発表者名
      山下早苗、大迫由紀
    • 学会等名
      日本看護倫理学会第7回年次大会
    • 発表場所
      名古屋(ウインクあいち)
    • 年月日
      2014-05-24 – 2014-05-25
  • [図書] 看護理論家の業績と理論評価第26章 ノラ J.ベンダー2015

    • 著者名/発表者名
      小西恵美子
    • 総ページ数
      407-419
    • 出版者
      医学書院
  • [図書] この1冊でできるはじめての看護研究2015

    • 著者名/発表者名
      前田樹海
    • 総ページ数
      160
    • 出版者
      ナツメ社
  • [図書] よい看護・よい看護師への道しるべ 改訂第2版2014

    • 著者名/発表者名
      小西恵美子
    • 総ページ数
      243
    • 出版者
      南江堂
  • [図書] 第III章12.インフォームドコンセント, in: 小西編よい看護・よい看護師への道しるべ 改訂第2版2014

    • 著者名/発表者名
      前田樹海
    • 総ページ数
      105-111
    • 出版者
      南江堂
  • [図書] 第IV章倫理的意思決定のステップと事例検討, in: 小西編よい看護・よい看護師への道しるべ 改訂第2版2014

    • 著者名/発表者名
      小西恵美子、山下早苗
    • 総ページ数
      125~136
    • 出版者
      南江堂
  • [図書] 第Ⅲ章9.パターナリズム in: 小西編よい看護・よい看護師への道しるべ 改訂第2版2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木真理子
    • 総ページ数
      87-93
    • 出版者
      南江堂
  • [図書] 第VII章看護研究における倫理 in: 小西編よい看護・よい看護師への道しるべ 改訂第2版2014

    • 著者名/発表者名
      前田樹海
    • 総ページ数
      223-234
    • 出版者
      南江堂

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公開日: 2016-06-01  

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