研究分担者 |
川口 孝泰 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40214613)
江口 清 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00213538)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
宮本 俊和 筑波大学, 人間系, 教授 (40200208)
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
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研究概要 |
肥満者では膝や股関節に多大な負担をかけるため,運動実践自体が困難な場合も多い.そこで,安全であり効率的な運動トレーニング方法の登場が待たれる.そこで今回は,高齢肥満者に対して6ヶ月間のハイブリッド訓練を施行し,その有用性について,骨格の筋量,筋力と脂肪化,体組成,脂質と糖代謝,肝機能障害,炎症マーカーの改善の観点より検討することを目的とした.ハイブリッド訓練とは,筋肉の自発的収縮と電気刺激による電気的収縮の混合運動による骨格筋訓練である.本学附属病院に外来通院するNAFLD息者のうち,3ヶ月間の生活指導により肝機能障害が改善しなかった高齢肥満者15名(年齢65士6.0,BMI27士2.9)を対象とした,両脚大腿部に電極を装着し,座位での屈曲伸農運動でハイブリッド訓練を行った.15回の屈曲伸展を1セットとし,両脚3セットずつを2回繰り返した.1回の訓練は約20分間で,週2回,6ヶ月間施行した.訓練開始前と6ヶ月後における大腿部伸筋および屈筋の筋力,^1H-MRSによる筋組成,体組成,血液生化学データの比較検討を行った.その結果,高齢肥満者におけるハイブリッド訓練は,訓練部位骨格筋の筋力増加と筋脂肪化の減少,体脂肪量の減少,肝機能障害の改善,肝線維化の指標であるNAFLD fibrosis scoreも改善を誘導した.これらの結果の背景には、介入前後において、TBARSの酸化ストレス、ファリチンの炎症マーカーが改善していることより考察して、骨格筋と同様に、肝における具所性脂肪の減少とそれに関連する酸化ストレスレベルの改善が生じている可能性が示唆される。インスリン抵抗性の変化も関与していると推測される.ハイブリッド訓練は高齢肥満者に対する新しい運動療法として有用であると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢肥満者に対するハイブリッド訓練により,訓練部位の骨格筋重の保持,筋脂肪化の改善,インスリン抵抗性の改善,肝機能障害の改善などの有用性が認められた.現在,本訓練の有用性について論文作成中である.
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