研究概要 |
まず,家族支援を記述する上で新しい家族看護学専門用語の概念検証が必要になるため,"家族システムユニットストレス""家族イベント""家族レジリエンス""家族スピリチュアリティ"などの概念分析を行い,それぞれの定義を明確にした.次に,長崎フィールドでは932家族(有効回答分)への質問紙調査と19家族への半構成面接調査,香港フィールドでは8家族(有効回答分)への質問紙調査と8家族への半構成面接調査,兵庫フィールドでは12家族と12名の看護師への半構成面接調査を実施し,エスノグラフィックデータを加え,すべてのデータをミックス法にて分析した.とくに"家族システムユニットストレス"では,心理的家族システムユニットストレス,物理的家族システムユニットストレスに加え,スピリチュアル的家族システムユニットストレスが明らかになった.家族システムユニットストレスへの支援は,家族資源の分類にしたがい,家族内部環境,家族外部環境,時間環境の3つの分類と,内的環境,人的環境,物理的環境,心理的環境,スピリチュアル的環境の5つの分類とを合わせた11分類に分けることができ,合計39種類の家族支援が明らかになった.さらに,"家族ケア/ケアリング理論(Family Care/Caring Theory:FCCT)"を提唱し,これを"家族同心球環境理論/モデル(CSFET/CSFEM)"に実装し,"家族支援看護職者とその協働者"のアセスメント項目を追加した.家族同心球環境理論(CSFET)と家族支援の媒介として家族ケアリングを位置づけ,家族同心球環境理論(CSFET)とそれに基づいた家族支援を結びつけることを可能にした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたフィールド(長崎,香港,兵庫)での質的研究と量的研究を実施し,リッチなデータを収集できた.当初の計画通り,"家族環境アセスメントモデル(FEAM)"と"家族環境支援モデル(FEIM)"の改訂を繰り返し,39種類の家族支援までを明らかにできたので,順調に研究は進んでいると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にしたがって,国内外のフィールドで,"家族環境支援モデル(FEIM)"の改良,家族支援の実施,その効果評価を進めていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に10,606円の未使用額が出たが少額であり,平成25年度の研究費の使用に影響するものではない.予定通り,主に国内外での研究打ち合わせと調査のための旅費,研究補助および資料整理のための謝金,質問紙の印刷費,質問紙の発送と回収のための通信費などに使用する。
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