研究課題/領域番号 |
24390509
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
奥津 文子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (10314270)
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研究分担者 |
江川 隆子 関西看護医療大学, 看護学部, 教授 (40193990)
星野 明子 京都府立大学, 医学部, 教授 (70282209)
桂 敏樹 京都大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00194796)
森 敏 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (40200365)
荒川 千登世 滋賀県立大学, 人間看護学部, 准教授 (10212614)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リンパ浮腫 / 空気式圧迫療法 / ベスト / セルフケア |
研究概要 |
日本におけるリンパ浮腫患者に対する「空気式圧迫療法」および「前処置」の実態を明らかにすること目的に、研究活動を行った。 まず、リンパ浮腫患者会(ばらの会)参加者、滋賀県立大学人間看護学部リンパ浮腫相談室に来室するリンパ浮腫患者らや、公立甲賀病院リンパ浮腫外来担当看護師・群馬大学リラクゼーション外来担当看護師より、空気圧療法および前処置について聞き取り調査を行った。 その結果、リンパ浮腫ケア指導に当たる者は、前処置の重要性と方法を指導し、できれば空気圧迫療法を行わないように伝えていることが分かった。にもかかわらず、リンパ浮腫患者は、前処置よりも浮腫が生じている四肢に関心が向けられ、前処置はなおざりにしがちである実態が明確になった。 さらには、メドマー・ハドマーといった空気圧迫療法の器機を購入している患者は、「止められているが時々使う」と答える者が半数近くに達し、その理由を「圧をもっとも弱くして使っているので、大丈夫だと思っている」「自分で(ドレナージ)するのは面倒」と答えた。また空気圧迫療法を行う前に前処置をしているかとの問いに対して、全員が「していない」と答え、その理由を「必要だと思わなかった」「機械がしてくれるならいいけど、自分でするのは大変」と徒手リンパドレナージに対する負担感を訴えた。 以上の調査結果より、(1)リンパ浮腫患者は、前処置の重要性を指導されてもリンパ浮腫が生じている四肢に関心が向きがちで、前処置がなおざりにされている、(2)徒手リンパドレナージの負担感から、多くの患者が使用を止められている空気圧迫療法を続けている、(3)空気圧迫療法実施前に前処置は行っていない、以上3点が明らかになった。リンパドレナージに対する負担感を減らし、空気圧迫療法を安全に行うために、平成25年度はドレナージベストの試作にかかる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度計画では、リンパ浮腫患者に対し徒手リンパドレナージに関する実態調査を行う予定であった。 実際には患者に対する調査だけでなく、患者指導を行っている看護師に対しても聴き取り調査を行うことができた。 その結果、看護師は前処置の必要性・重要性を指導していることがわかった。にもかかわらず、患者は前処置の重要性を聴いていても、ドレナージの負担感から前処置が行えていないという、重要な実態が明確になった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、株式会社サンキと連携し、リンパ浮腫用ベスト型空気波動式ドレナージ装置プロトタイプの製作、安全で簡便な使用手順を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度はリンパ浮腫用ベスト型空気波動式ドレナージ装置プロトタイプの製作を株式会社サンキに依頼して進める予定である。試算では、プロトタイプ試作実験費等で600万円以上の支出が見込まれたため、24年度予算を切り詰め25年度に研究費を残した。
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