研究課題/領域番号 |
24390513
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
岸 恵美子 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (80310217)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | セルフ・ネグレクト / 孤立死 / 高齢者 / 介入 / 評価 |
研究概要 |
1.セルフ・ネグレクトアセスメントツールの検討 今年度は、2次データとして分析することの許可が得られた調査結果と、2008~2010年度の基盤研究(B)で実施した全国調査の結果の分析、昨年度から行っている文献検討をもとに、研究者間でのディスカッションから、セルフ・ネグレクトの定義、構成する概念を明確にし論文投稿を行った。また明確にした定義、概念からアセスメントツールの検討を行った。アセスメントツールは、セルフ・ネグレクトのリスクを査定する「リスクアセスメントツール」、セルフ・ネグレクトかどうかをスクリーニングする「セルフ・ネグレクトスクリーニング項目」、セルフ・ネグレクトかどうかや、セルフ・ネグレクトの状態を査定する「セルフ・ネグレクトアセスメントツール」、セルフ・ネグレクトの重症度や対応の緊急度を査定する「セルフ・ネグレクト重症度スケール」の4ツールを検討した。アセスメントツールは、今後現場で適応可能かなどを調査し、評価を踏まえてさらに精錬させる。 2.極端に不衛生な家族で生活する人への介入方法の検討 昨年度行った、セルフ・ネグレクトの一つのパターンであるゴミ屋敷やホーディングシンドロームについての文献検討、清掃業者へのヒアリング等を踏まえて、介入・支援方法について地域包括支援センターの職員を対象にフォーカス・グループインタビューを実施し、効果的な介入・支援を検討する基礎資料とした。 3.セルフ・ネグレクトアセスメントツール(地域版)の検討 先進的にセルフ・ネグレクトを含む高齢者への孤立予防対策やコミュニティ再生の活動を行っている自治体への視察と面接調査を行い、セルフ・ネグレクトアセスメントツールの地域版を検討する基礎資料とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度でアセスメントツールを完成させる予定であったが、地域包括支援センターの職員へのフォーカスグループインタビューの結果や、先進地域の視察・面接調査の結果、概念との突き合せを行って、アセスメントツールの検討を繰り返し行ったため、当初の計画より時間がかかった。しかし、概念とアセスメントツールの関連を明確にすることができたこと、現場の事例や対応を踏まえてアセスメントツールを検討できたことから、今後現場での実際の事例に適応可能かどうかを検討する上でも重要なプロセスであったと考え、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
検討してきた「セルフ・ネグレクトリスクアセスメントツール」「セルフ・ネグレクトスクリーニング項目」「セルフ・ネグレクトアセスメントツール」「セルフ・ネグレクト重症度スケール」等を、地域包括支援センターへの調査により洗練させるとともに、実際に事例を当てはめ、ツールの信頼性・妥当性を検討する。また先進地域自治体の視察および面接調査をさらに進め、セルフ・ネグレクト事例への予防的介入の必要性を査定するアセスメントツールを作成する。 セルフ・ネグレクトの一つのパターンであるゴミ屋敷事例については、事例の背景、プロセス、行政等の対応や介入方法を分析することで、事例の特徴と効果的な介入プログラムを構築する上での基礎資料とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度アセスメントツールに関わる調査費用を計上していたが、アセスメントツールを慎重に検討する必要があり、調査実施に至らなかったためその支出がなかった。 アセスメントツールに関わる調査を実施し、先進地域の視察および面接調査をさらに進めるため、その費用として支出する予定である。
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