研究課題/領域番号 |
24401004
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関根 良平 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教 (90333781)
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研究分担者 |
境田 清隆 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (10133927)
大月 義徳 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (00272013)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中国 / 内蒙古自治区 / 地理学 / 環境調和型農林水産業 / 国土保全 / 農民専業合作社 |
研究概要 |
平成24年度は6月下旬以降に研究代表者・研究分担者および連携研究者計6名および研究協力者3名が現地に渡航し、(1)呼和浩特市周辺地域(2)錫林郭勒盟錫林浩特市周辺地域、および(3)呼倫貝爾市扎当屯県級市周辺地域を対象として研究を進めた。特に(1)の地域については、展開がみられるようになった複数の農民専業合作社、および馬鈴薯生産・販売を専門とする企業に新たに聞き取り調査を実施することができた。そこで共通していたのは、199σ年代後半の農地/草地分割以降、家族経営を中心として個別により高い所得形成を目指し、環境の脆弱性や大企業による流通・販売部門の影響の強化等の理由でその伸びが期待出来なくなるなかで、合作社のような地域資源を基盤とした農民主体の動きでもある新たな経済主体が販売ルート開拓とその維持などに一定の経済的な効果をもたらしている点である。しかし同時に、各地域では農地/草地分割から10年強の時間経過のなかで、各農牧家間の経営内容や経営意欲に大きな格差が生じており、地域の内部でみれば参加する(できる)者とそうでない者が明瞭に分化し、さらにはそれが地域間格差を助長・固定化する状況にあることが明らかとなった。 同時にこの地域では、土地利用および地形条件の変化に加え定点カメラを利用した砂塵暴の発生データの収集を継続して実施しており、特に(2)の地域に関しては、地温および土壌水分量データとの比較検討し、4-5月の気温が夏季の草原量に影響するメカニズムを解析した。また本研究から新規に研究対象地域とした(4)の地域では、基礎情報となる地形/植生的特徴に関する情報収集のための踏査を行い、人文地理学的/気候植生学的調査が可能な地域の絞り込みを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度中に対象とした地域において聞き取り調査・土地利用調査等の対象となる農民専業合作社や企業の目途をつけることができ、従前より継続的に実施しているモニタリング調査の継続性を確保することも可能となった。また、平成24年度中にこれまで入手可能性が乏しくGISによる検討が困難であった、人民公社展開当時(1970年代)からの統計データを入手することができ、新たな視点からの研究の前提条件が整った。
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今後の研究の推進方策 |
近年、日本との外交関係の問題などを契機として、特に測量を伴うような地形学的調査や気象データの収集・公表には慎重な対応が求められている。また、平成24年度中には対象地域でも市民によるデモが展開するなど情勢が不安定な時期・局面に遭遇する可能性が高まっており、その点に特に留意し研究を推進する必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、上記の状況もありデータ収集および分析の見通しが立たず、可搬携帯型土壌分析器を購入しなかったことにより生じたものであり、今年度は情勢の推移を慎重に見極めつつ機器を購入し各種分析を行い平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。
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