研究課題/領域番号 |
24401013
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
桜井 啓子 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (70235216)
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研究分担者 |
鈴木 恵美 早稲田大学, 付置研究所, その他 (00535437)
OMAR Farouk 広島市立大学, 国際学部, 研究員 (30275391)
砂井 紫里 早稲田大学, 付置研究所, 助手 (90367152)
西村 淳一 早稲田大学, 付置研究所, 准教授 (10380700)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地域間比較研究 / イスラーム系宗教大学 / 留学生 / 中東・アジア / グローバル化 / ローカル化 / アズハル大学 / マディーナ国際大学 |
研究概要 |
(1)平成25年9月に、インドネシアとイランで海外調査を実施した。インドネシアのジャカルタでは、イランのシーア派系宗教大学への留学経験のあるインドネシア人宗教指導者4名にインタヴューをし、留学に至った経緯や留学中の体験等について話を聞いた。また、現在、彼らが教鞭をとっているイラン系のイスラミック・カレッジ・ジャカルタ校を訪問し、学生にもインタヴューをし、カリキュラムにおけるイランの影響について考察した。イランのテヘランでは、中世イスラーム世界の教育制度や教育機関に関するイラン国内の研究状況の把握に努めた他、アラビア語一次史料の収集のためにイラン国立図書館、テヘラン大学図書館、マレク図書館を訪問し、複写データを入手した。(2)平成26年3月に米国のプリンストン大学で、同大学のDr.Mirjam Kunklerと"'Alimahs, Muhaddithahs, and Mujtahidahs': The Past and Present of Female Religious Authority in Shi'i Islam"と題する国際会議を共催した。この会議では、北米や欧州で活躍する第一線の学者が参加し、3日間にわたり、女性学者という視点から、イスラームの初期から現代までのイスラームにおける知の継承方法に関して討議した。会議では、イスラームの知の継承において女性がどの程度、またどのようにかかわってきたのかについて多様な事例が示された。また、欧米の研究者の議論の進行方法において学ぶ点も多々あり、有意義な会議となった。(3)平成26年3月に研究会を開催し、黒田賢治氏が「『法学者の統治』体制下における国家と宗教界-ホウゼの展開を中心に」というタイトルで報告した。(4)英文書籍と和文書籍の出版に向けた編集作業を行い、原稿を各出版社に送付した。(5)平成25年度の活動報告を『イスラーム地域研究ジャーナル』第6号 89-90頁に掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1)平成24年度にDr. Masooda Bano と共催したオックスフォード大学での国際会議"Centres of Learning and Changes in Muslim Societies: Global Influence of Al-Azhar, Al-Medina, and Al-Mustafa"の成果を英文書籍として出版するための準備が順調に進んだ。平成25年秋に国際会議の参加者全員の原稿集めが完了し、編者となる桜井とオックスフォード大学のMasooda Banoの二人で、全原稿を閲読のうえ編集した。平成25年冬に英国の出版社にプロポーザルを提出したところ、出版社から出版の内諾を得た。今後は、出版社の規定にしたがって、原稿が外部の閲読者に送られる。そこで出たコメントを反映させ、索引などをつけて平成26度中に再提出する予定だ。英文出版に向けて大いに前進することができた。 (2)イランおよびインドネシアでの出張によって得た知見を活用して、イスラーム系宗教大学の留学生獲得戦略に関する事例研究を前進させることができた。少なくともイランのケースにおいては、ある種の全体像を把握することができた。現在、この研究成果を、和文書籍として出版するための執筆作業に従事している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)イラン、エジプト、東アジアに派遣し、海外調査を実施し、研究テーマの進化発展を目指す。 (2)研究会を2回、国内で実施する。 (3)平成24年度にDr. Masooda Bano と共催したオックスフォード大学での国際会議"Centres of Learning and Changes in Muslim Societies: Global Influence of Al-Azhar, Al-Medina, and Al-Mustafa"の成果を英文書籍として出版するための作業を継続する。英国の出版社と協議した結果、"Shaping Global Islamic Discourses: The Role of Al-Azhar, Al-Madina and Al-Mustafa"というタイトルで出版することでほぼ合意した。平成26年度内に出版社が定める外部閲読を経て、閲読結果を原稿に反映させるとともに、引用文献一覧、索引、図表などを完成させ、出版社に最終原稿を提出の予定。 (4)和文書籍の出版に向けて執筆を継続する。本年度中に『イランの宗教教育戦略:グローバル化と留学生』というタイトルで山川出版社より刊行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度未使用額ならびに今年度予算は、平成26年度に予定している以下の3つの研究活動を実施するために使用する。(1)イスラーム系宗教大学への留学生の送り出しや受け入れに関する実態把握のために、イラン、エジプト、東南アジアに派遣し、海外調査を実施。(2)イスラーム系宗教大学の留学生受け入れの実態ならびに卒業生の帰国後の活動に関する研究会を2回程度実施。(3)英文書籍の出版に向けた編集ならびに校正作業。 (1)イラン、エジプト、東南アジアに3~4名を派遣し海外調査を実施するための海外旅費(2)研究会を開催するための国内旅費(3)英文出版のための英文校閲費、として支出する。
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