研究課題/領域番号 |
24401015
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
藤巻 正己 立命館大学, 文学部, 教授 (60131603)
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研究分担者 |
江口 信清 立命館大学, 文学部, 教授 (90185108)
山本 勇次 大阪国際大学, 現代社会学部, 名誉教授 (50114806)
田和 正孝 関西学院大学, 文学部, 教授 (30217210)
祖田 亮次 大阪市立大学, 文学研究科, 准教授 (30325138)
石井 香世子 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 准教授 (50367679)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 外国人労働者 / マレーシア / 人文地理学 / 文化人類学 / 社会学 |
研究概要 |
本研究は、多民族国家マレーシアにおいて、外国人労働者がどのように同国の経済社会に組み込まれているのかについて、精緻な現地調査を通して探究することを目的としている。また、外国人労働者が同国の最下層や周辺的社会集団を構成する極貧層や、オランアスリおよびイバン人などの先住民族、「ポルトガル人」などのエスニックマイノリティとどのように「切り結ばれた関係」を生成しているのかについても、学際的総合的に解明するところに研究の意義と重要性があるとの立場から、以下のように研究を遂行した。 ①藤巻は、クアラルンプルとペナンにて外国人労働者が集住する地区を訪れ、観察・インタビュー調査を実施した。②山本はペナンにてネパール人出稼ぎ労働者に対するインタビュー調査を継続し、データ量を大幅に増やすことができた。③田和は、ペラ州のパンコール島における巻き網漁に従事するネパール人、ミャンマー人の就労実態について調査を行うことにより、今日のマレー半島の漁業において外国人労働者が広く、深くかかわりつつあることを明らかにした。④祖田は、前年度に引き続き、サラワクの油やしプランテーションと油やし小農によって雇用されているインドネシア人に関する調査を行い、現地データをよりいっそう豊富化させた。⑤石井は出産と育児のため現地調査を断念し、過年度までに得られたタイとの国境付近で就労しているタイ人女性に関するデータをもとに、学会での口頭発表と論文執筆に専念した。⑥江口は手術と入院を伴う重篤の身になったため、現地調査を含め一切の研究活動を断念せざるを得なくなった。 以上のほか、2名の研究協力者(平戸幹夫、薬師寺浩之)により、パハン州のプランテーション地域におけるインドネシア人労働者、ペナンのツーリズム部門で就労するミャンマー人・ネパール人に関するインタビュー調査が遂行されたことにより、本年度の研究目標をおおむね達成できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者、および病気や出産等のため研究活動を断念もしくは現地調査を実施できなかった江口、石井の両名を除く3名の分担者は、各自の課題にそった調査研究に取組み、おおむね目標を達成することができたと考える。田和はこれまでのパハン州スクク村での定点調査のみならず、今年度は新たにマレー半島西岸のパンコール島での漁労活動にも関心を向け、結果として有意義な成果を得ることができたことは高く評価したい。また、2名の研究協力者によるパハン州のプランテーション地域やペナンの観光地での精緻な現地調査の成果は、本研究課題の高度化に大きく貢献した。研究協力者の活躍により、2名の分担者の研究取り組みの不調部分は十分に補填されたものと確信している。 また、6月にはマレーシア研究の先駆者2名(白坂蕃、平戸幹夫)を招聘し、「マレーシアの農業開発地域における外国人労働者に関する学際的総合的研究」をテーマに掲げた公開セミナーを開催し、本研究課題をさらに有意義なものにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画については大幅な変更はとくにない。最終年度にあたる本年度においては、これまでの研究成果をふまつつ、補完調査等により集大成に向けた取り組みを行うこととする。ただし、研究組織については、昨年度より重篤の身となった江口を分担者から外すことを決断した。また、石井については育児のため現地調査を行わせず、国内での研究活動に専念させることとする。分担者両名の研究活動の不足分を、これまで研究協力者として貢献してきた平戸幹夫、薬師寺浩之の両名に補ってもらうこととする。また、カウンターパートであるマレーシア科学大学のTarmiji Masron氏などに現地協力者として研究支援を受ける予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者の江口が手術・入院生活を余儀なくされたため、研究期間中、当初予定していた研究取り組みを行うことができなくなった。また、石井も出産と育児のため、現地調査を実施することが困難となった。以上のことから、当初予算立てしていた研究費の実支出額が下回った。 病気のため休職状態となったため、江口を研究分担者から除外する。育児中の石井への分担金を減額し、減額分を、これまで本研究課題に貢献してきた2名研究協力者の現地調査費用等で活用する。また、最終年度にあたる次年度にはマレーシアからの複数の研究者および国内のマレーシア研究者を招聘しての国際シンポジウムを開催するため、その経費を厚くする。
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