本研究は美術史的視点に立脚して、13~18世紀のタイにおける異文化の受容とその展開を探り、文化交流の実相を浮かび上がらせることを目的とする。これまでタイにおける異文化の受容と変容を明らかにするために、交易品に着目してその関係資料を横断的に調査を行ってきた。また、タイ王国芸術局と情報共有し、日タイ双方で資料の活用を進めるために、それぞれの資料について文化財としての正しい評価を行った。 本研究期間は、当初3年間と設定していたが、資料の整理のために研究期間を1年延長させていただいた。そのため、本年はこれまで収集してきたデータの整理に注力し、以下のように研究成果の公開に努めた。 (1)26年度に開催した調査研究の中間報告セミナーの内容をまとめ、タイ国側と情報共有するため英訳を行った。本研究はタイ芸術局と協力し進めてきたもので、両者で情報を補完することにより、各種文化財についての認識を改める機会となった。 (2)対外交易品としてインド更紗・ヨーロッパ更紗に着目し、タイと日本に伝わった更紗を比較検討することで、それぞれの流通と受容の傾向について理解を深めることができた。本研究の成果は、大谷大学博物館における公開講座(28年3月17日)を通して公開した。 (3)本研究成果報告書(143頁)を発行した。(28年3月31日発行)
|