平成27年度は、これまでの研究成果をまとめる報告書の作成・刊行を中心に研究活動をおこなった。報告書はA4版160頁で、『中国とロシア沿海地方における渤海の考古学的研究』と題して、平成28年3月28日に刊行した。報告書には、調査経過、ロシア沿海地方の遺跡分布から見た領域論、ロシア沿海地方の靺鞨と渤海の土器に関する論考、ロシアのウスリースク市郊外にあるチェルニャチノ5遺跡の埋葬事例分析、中国に所在する渤海前期の王都についての研究、ロシア沿海地方に所在する仏教寺院の研究、クラスキノ城跡から出土した鉄素材とアスファルトに関する科学分析報告、ロシア沿海地方で出土する石製装身具についての検討などを掲載できた。 また、9月22日~27日にかけて吉林大学(中国吉林省)で開催された「古代東北アジアの社会と文化・国際学術シンポジウム」に参加し、「渤海前期の王都について」という題で報告を行い、その内容は上記報告書に掲載した。平成28年2月27日・28日に石川県立歴史博物館で開催した第17回北アジア調査研究報告会で小嶋が「ロシア沿海地方の渤海遺跡-遺跡分布から見た領域論-」、研究協力者の中澤寛将が「渤海葬墓制の諸問題」と題してそれぞれ報告を行った。
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