研究課題/領域番号 |
24401034
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | ノートルダム清心女子大学 |
研究代表者 |
紺谷 亮一 ノートルダム清心女子大学, 文学部・現代社会学科, 准教授 (50441473)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | キュルテペ / コスト距離分析 / アッシリア・コロニー時代 / イキテペ / トルコ共和国 / 都市化構造 |
研究概要 |
今年度の調査、およびこれまでのデータ分析から、カイセリ県内の遺跡分布についていくつかの特徴を見いだすことができた。まずカイセリ県は遺跡の分布や地形的特徴から3つないしは4つの地域圏に分けることができそうだということである。次にキュルテペを中心とする北方地域(A)はホユック型の遺跡が多いがすべて小規模遺跡である、つまり、キュルテペ以外に大規模な都市として発達した遺跡はないということである。第3に、今回Aとした地域はアリシャルIII式土器の分布とほぼ一致するということを確認できた。4番目に、キュルテペ文書から期待されたカイセリ東部のルートは当該調査でみる限り、遺跡分布の点からは明確に確認できなかった。一方、南西部においてエイリキョイやイキテペという大規模遺跡を確認したことやコスト距離分析からキュルテペ南西方面のルートの重要性を見いだすことができた。 当該調査の初期段階では、カイセリ県の遺跡分布がキュルテペを求心力とするような状況を呈するだろうと予測していた。だが、キュルテペの大都市化はクズルウルマック川を越えたより北方の状況も視野に入れて考える必要がある。もちろん、キュルテペ発展の背景にはシリアやメソポタミア方面との交易が大きな要因であることは間違いない。しかしキュルテペ文書から古代の交易ルートと推測されたカイセリ東部地域は山間部であり、交易拠点となるような大きな集落は形成されにくい地帯と思われる。遺跡の多くは遺物散布地であり、またアッシリア・コロニー時代に遺跡が激減する。このような状況に加え、B地域の遺跡状況やコスト距離分析から、南ルートの重要性が浮かび上がってきた。これまでの調査・研究によりいくつかの地域圏が存在する、より複雑な都市化構造を持つ可能性を見いだすことができた。おそらく、冒頭で述べた遺跡の二極化イメージは、北方地域(A)において有効な研究視点になり得るものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カイセリ県における遺跡調査プロジェクトは5シーズン目を迎え、計106遺跡を踏査し、県内ほぼ全域を網羅した。残る2年間でキュルテペを中心とした中央アナトリアの都市化モデルを構築できるデータが揃いつつある。また、外国隊として初めてキュルテペ発掘調査に参加し、日本の学術誌に概報を載せることができた。
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今後の研究の推進方策 |
キュルテペを中心とした中央アナトリアの都市化モデルを構築し、Anatolian BottleNeck理論(仮称)を具体化していく。より多くの遺跡の踏査及び、キュルテペ遺跡発掘の日本隊参加を継続していく。また、ボーリング調査等を駆使した古環境分析のデータも加味していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該研究の最終年になるので調査報告書完成を目指した作業に集中したい。
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