研究課題/領域番号 |
24401046
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
加藤 隆浩 南山大学, 外国語学部, 教授 (50185849)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 民族写真 / ペルー / アンデス / 博物館資料 |
研究概要 |
報告者の手元にある「アンデス民族学画像コレクション」とペルー、アメリカ合衆国で所蔵されている同様のコレクションを比較することで、どのような有効活用が可能かを検討するのが当面の課題であった。そのため、まず、ペルーのブルーニン博物館、バルトロメ・デ・ラスカサス・センターが所蔵する写真群が各々どのような利用のされ方をしているかについて聞き取り調査を行った。また、コーネル大学のコレクションに関しては、担当者がペルー・クスコ市のマチュピチュ博物館に滞在中だったので、同様の聞き取りを行った。その結果、どの研究機関もそれぞれの機関の概要を示す展示と写真集(絵葉書も含む)の作成にとどまり、それが民族学=文化人類学的に活用されていることはないこと、しかし、学術的な活用方法を検討する必要があるという共通の認識をもつことが判明した。その結果、とりあえず、1960年代の写真を並べて展示し、報告者の側から友枝啓泰の視点、コーネル大学からは、ジョン・ムーラの視点を比較する展覧会を次年度にマチュピチュ博物館で実施する計画を立てた。また、今年度の調査中、アンカシュ県の山村ポマバンバ地区で所蔵されている写真コレクションの存在を知り、それを精査したところ、1910年代から今日に至るまで、定点観測するかのように時系列的に撮影されていることが判明した。加えて、ペルー山間部では、写真撮影を生業とし、村々を巡回する写真家がかつて存在しており、その実態について詳細な情報を入手することができた。さらにまた、ポマバンバの伝統行事、風俗、習慣を撮影した写真をもとに、ポマバンバのインフォーマントから、撮影された対象についての情報を得ることができた。ポマバンバに関してはこれまで民族誌は刊行されておらず、また調査もされていないので、そのコレクションが、有力な民族誌的情報源となることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究機関のコレクションに加え、細かなデータを備えたポマバンバ・コレクションの出現で本研究が対象とするデータは急増し、研究の厚みが増したと考えられる。ただし、比較対象が増える分、それぞれに割ける調査時間の配分が少なくなった。次年度の調査の展開に期待したい。
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今後の研究の推進方策 |
時系列を確立できるポマバンバ・コレクションを軸にし、他のアンデス民族写真のコレクションと比較して通時的研究を行う。また、写真をインフォーマントに見せて、より「厚い」民族誌的記述を目指す。ジョン・ムーラと友枝啓泰の写真をもとに展覧会を開催し、両研究者の視点を比較するとともに、写真からどのような民族誌的データが取れるかも検討する。
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