研究課題
本研究の目的は、都市のグローバル化の特異性に着目するグローバル・シティー論を手がかりとして、2000年代半ば以降の新しいグローバル化運動・思想の特質を、「新しい公共空間」の形成という観点から国際比較することにある。本年度は特に、近年の都市や地方における反グローバル化運動の変容、及び日本の都市や地方におけるグローバル化に関連する、以下の諸問題の考察を行った。(1)第一に、本研究では、グローバル・スタディーズや都市社会学、行政学や社会運動研究等の領域で行われた、2000年代半ば以降の反グローバル化運動に関する先行研究を全員で分析し、多様な反グローバル化運動の進展要因に関して、どのような理論的説明が行われているかを検討した。その結果、①近年の反グローバル化運動に関しては、都市内の多数派住民を担い手とする旧来型の運動から、多数派側の政策的認知や特別待遇の対象から外れた非主流派の外国人や失業者・老人等、都市内少数派を担い手とする新しい運動への移動が見られる、②こうした新しい反グローバル化運動は、地方と比較した場合都市内部において展開される場合が多く、それは従来のグローバル・シティー仮説と背反する側面を持っているが、そうした矛盾の理論的説明は今後の課題として残されている、等の重要知見が判明した。(2)更に本研究では、2000年代半ば以降の北米・西欧・東欧諸都市における反グローバル化運動の具体的変容過程、及び日本のグローバル化の特質について考察した。その結果、①外国の都市内少数派による新しい反グローバル化運動は、その担い手が政治的資源に乏しい少数派である結果、都市内の公共空間における非組織的な意思表明行動に依拠する傾向が強い、②日本におけるグローバル化の一つの特色は、こうした新しい形態の反グローバル化運動の不活発性に求められてきたが、近年それには変化も見られる、等の重要知見が判明した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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北大法学論集
巻: 66 ページ: 391-402
Journalism
巻: 299 ページ: 23-29
法と哲学
巻: 1 ページ: 207-218