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2015 年度 実施状況報告書

20世紀型一国的政党配置の変容からみる21世紀型グローバルな政治改革の実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 24402011
研究機関日本女子大学

研究代表者

住澤 博紀  日本女子大学, 家政学部, 教授 (50226601)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2017-03-31
キーワード国際進歩連合 / 欧州社会民主主義 / シンクタンク組織 / 21世紀型政党 / 政治関係資本 / アジア社会民主主義 / 国民不在の国家
研究実績の概要

アメリカでの欧州社会民主主義とEU型福祉国家の研究を概観するため、2015年度アメリカ政治学会(9月2~7日 サンフランシスコ)の関連部会を中心に参加した。具体的には第11部会比較政治学、第15部会欧州政治と社会などである。後者ではセッション(5)選挙政治と欧州議会、(9)政党間競争と福祉国家、(13)選挙とガバナンスに関する政党の戦略などが研究計画に関連した。
EUは通貨同盟や21世紀の新しい政治体制(超国家組織、マルチレベル・ガバナンス、移民問題など)に直面し、解決を模索しているにもかかわらず、20世紀を特徴づける諸制度、つまり主権国家、政党政治、議会制民主主義、福祉国家などが、世界のどの地域よりもなお大きく現実政治を規定しているというパラドックスがみられる。その結果、ポピュリズム、ナショナリズム政党の台頭など、反体制派ミニ政党の台頭がみられ、その研究も盛んだが、この研究計画ではそれは周辺テーマである。
また国際進歩連合(Progressive Alliance)が組織した、マレーシアのペナンでの国際セミナー(9月24~27日)にオブザーバーとして参加し、欧州社民政党とアジア社民政党の共通の政策課題、組織的な協働などについて情報を得た。「成長と包摂」というグローバルな現代的課題がセミナーのテーマであり、「経済成長」は20世紀の中心テーマであったが、21世紀型政党には、「包摂inclusion」を基盤とする新しい政策体系と政党のあり方が問われている。
ヨーロッパ社民に関しては、20世紀型政治の危機の時代の「新しい政治関係資本」の活性化としてシンクタンク組織の役割を分析した。「欧州社会党と国境を超えるシンクタンク組織の新しい役割 -政治関係資本の活性化としての21世紀型政党のために」(日本女子大学大学院紀要 家政学研究科・人間生活学研究科 第22号 21-227参照。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度で研究終了の予定であったが、(1)昨年度から家政学部長に就任し、外国での調査が9月やその他の短期間の休暇に限定され、(2)さらにパリとブリュッセルのテロ事件で、EU本部や欧州社会党へのヒアリング調査は延期せざるを得なかった。
さらに研究計画の出発点として、21世紀に入り、社民政党とエコロジー政党などを中心としてグローバルな政党配置の変動を設定したが、新自由主義のグローバル市場とグローバル企業が優位に立つシステムの中で、すべての政党の根拠が問われており、先進諸国の政党システム自体の再検討が必要とされるようになった。研究課題は、20世紀末ー21世初頭の「第3の道」政治の新しい展開であったが、社民政党とエコロジー政党のシンクタンク組織のグローバルな新しい結びつきを中心に、その展開を考察しようとした。この基本軸に変化ないが、先進諸国の代議制民主主義と政党政治自体が信頼を失いつつある中で、政党ー政治家ーシンクタンク組織ー(国家を超える)行政組織という構造が強化されている事態と、一国レベルで政党政治を媒介として代表を選出するという議会制デモクラシーと主権者たる国民のかい離という、二つの事態が並行して進展していることが現代の特徴となっている。したがって、政党間のグローバルな政党配置の再構成だけではなく、デモクラシーの政治資源のグローバル時代での適切な活性化についても言及しなければならなくなっている。1年間しかないが、こうした課題を追加して、研究を進める。

今後の研究の推進方策

今年も学部長を継続しているので、海外調査には限界がある。
(1)9月初旬のアメリカ政治学会(フィアディルフィア)に参加して、新しい課題である、政党ー行政システムとデモクラシーの分断ー平行的展開に関連するテーマや部会に参加して、新しい理論的アプローチを確認する。この場合、企業システムとsocial capital社会関係資本というアプローチを参考にして、20世紀型政党-行政政治システムとpolitical capital (デモクラシー政治関係資本)という仮説に立って、分析する。
(2)欧州が安定していれば、ドイツ社民党で難民問題のヒアリング調査(ベルリン)、さらにブリュッセルで10月中旬にある、国際シンポ連盟主催のシンポジウムに参加する。一国を超える地域形成モデルであるEUで、社民政党が移民問題(それ自体では歓迎されていた)をどのようにこれから位置づけ、どのように政策対応するのかを調査する。
(3)さらにアジア社会民主主義連合のいくつかのシンポジウムのうちで、関連するテーマや日程があれば、これもグローバルな展開の事例としてヒアリング調査を行う。参加している国は、マレーシア、インドネシア、フィリッピンなどである。

こうした3つから4つの海外ヒアリング調査を10月までに行い、11月から、新しい理論的な前提のもと、これまでの政党配置の再編とシンクタンク組織の新しい展開を、整理してゆく。

次年度使用額が生じた理由

学部長となり、海外調査に行く日程が限定され予定していたヒアリング調査の一部が実行できなかった。
さらにパリとブリュッセルでテロ事件があり、欧州社会党と欧州進歩研究所のあるブリュッセルの訪問を延期した。

次年度使用額の使用計画

(1)大統領選挙に関連して、ワシントンの民主党系シンクタンク組織へのヒアリング調査。さらにフィラデルフィアで9月初旬に行われるアメリカ政治学会年次大会に参加し、グローバルな経済とデモクラシー、さらには一国的な政党政治に関連する理論的な部会を傍聴し、新しい政治学的アプローチを探る。
(2)10月中旬に予定される、国際進歩連合のシンポジウム(ブリュッセル)に参加し、引き続きベルリンの社民党本部やエーベルト財団本部を訪問し、移民・難民問題とEUの将来をヒアリング調査する。
(3)必要があれば、アジア社会民主主義連合のいくつかのセミナーに参加する

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 欧州社会党と国境を超えるシンクタンク組織の新しい役割2016

    • 著者名/発表者名
      住澤博紀
    • 雑誌名

      日本女子大学大学院紀要 家政学研究科・人間生活額研究科

      巻: 第22号 ページ: 217-227

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 安倍政権と7月参議院選挙の未来史的意義2016

    • 著者名/発表者名
      住沢博紀
    • 雑誌名

      『現代の理論』デジタル版http://www.gendainoriron.jp/vol.08/feature/f01.php

      巻: 第8号 ページ: 1-6

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 2015年を戦後デモクラシーVer.2の年に2015

    • 著者名/発表者名
      住沢博紀
    • 雑誌名

      『現代の理論』デジタル版 http://www.gendainoriron.jp/vol.06/feature/f03.php

      巻: 第6号 ページ: 1-8

    • オープンアクセス
  • [備考] 住沢研究室欧州社会民主主義

    • URL

      http://mcm-www.jwu.ac.jp/~sumizawa/blog/?cat=7

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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