研究課題/領域番号 |
24402022
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
朽木 昭文 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (10450446)
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研究分担者 |
溝辺 哲男 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (50592622)
伊東 正一 九州大学, 農学研究科(研究院), 教授 (30222425)
山下 哲平 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (30432727)
中村 哲也 共栄大学, 国際経営学部, 准教授 (80364876)
菊地 香 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (30325831)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | バリューチェーン / 観光開発 / 環境意識 / シークエンスの経済 / 遺伝子工学 |
研究概要 |
本研究は、発生生物学を産業クラスターの器官形成のプロセス(過程)へ適用する。特に、器官形成においてスイッチの役割を持つ「Hox遺伝子」に着目する。これまで得られた結論として、次の2点である。第1に、産業クラスターの器官形成の過程において、経済的に効率的なシークエンス(順序)、つまりHox遺伝子の並び方が存在する。本研究でこれを「シークエンスの経済」と呼ぶ。最適な政策手段の実施の順序を採ることにより効率的な産業クラスターの器官形成に至ることである。この概念は、規模の経済や範囲の経済に相当する。第2に、産業クラスターの形成過程の最初に来るHox遺伝子が、全体のリーダー、つまりマスター・スイッチとなる。第3に、そのHox遺伝子となるヒトは、リーダーとしての高い資質となる基礎因子(SNP)を持つ必要がある。 この研究方針に従い朽木と中村は、「シークエンスの経済」のモデル化、その計量分析に向けたデータ整備、計量手法の検討を行った。また、遺伝子工学の産業クラスター形成分析への適用を試み、仮説を設定した。溝辺と伊東は、ブラジル・セラード地帯における現地調査を通じて、同地帯における農業クラスター形成に向けての課題をバリューチェーンの拡大プロセスを通じて検証した。検証結果からは、同地帯におけるクラスターの進行は、関連企業の集積等を促し、雇用拡大や貧困削減に貢献するインクルーシブな発展が顕著であることを明確にした。菊地は、閉鎖環境下にある亜熱帯島嶼地域の産業蓄積について、沖縄本島のマンゴーと石垣島のサトウキビを中心に検討した。山下は、沖縄の観光開発および農業と関連した環境意識からのアプローチについて検討した。特に、東南アジアやブラジル・セラードとの社会的な相違に着目しながら、既存の環境意識アプローチの限界と今後の展開方法について予備調査を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究の方向は次の3点である。第1に、「シークエンスの経済」の計量的な検証に関するプロトタイプ(原型)モデルの構築に向けてデータの整備を行った。これは、シンガポールと香港のハブ空港の建設を事例とする。GDPや空港利用者数など12項目に関して約30年分整備した。第2に、文化の構成因子の特定化、一般化である。これまで食、歴史など9項目を特定化した。これを8地域について検討した。第3に、遺伝子工学の成果であるHox遺伝子の考え方を産業クラスターの器官形成に適用した。以上により、農・食文化クラスター形成に関する「シークエンスの経済」の検証に向けて一年目の成果が順調であった。
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今後の研究の推進方策 |
開発モデルと想定しているクラスター化の促進を検証するにはバリューチェーンのプロセスを追うことで明確になることが理解された。今後ともサプライチェーンの変化とバリューチェーンの変化の把握を通じてクラスター化の現状と課題を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
国際穀物価格の上昇に伴いブラジルを中心とする南米の存在感が高まっている。このため前年度の未使用経費は、ブラジルでの調査実施上の諸経費として補填する。
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