研究概要 |
平成24年度における主たる課題の一つは,本社と選定した事業分社を対象にその経営組織のありようを,組織業績管理と人的資源管理の観点から概括的に明らかにすることであった。この課題では準備段階(平成23年度)でのヒアリングも含めて,一方ではパナソニック本社人事グループに対して5次に及ぶ聞き取り調査(H23年度:6月13日,8月11日,8月23日,9月13日,12月12日)を実施し,平成24年度についてはその整理作業を鋭意進めた。また他方で,AVCネットワークス事業分社に対しては,3次にわたる聞き取り調査(H24年度:8月29日,9月19日,12月18日)を実施し,その内容の検討と整理を行った。 いま一つの大きな課題(H24年度)は,アジア大洋州と中国をフィールドとして,地域を管轄する地域統括会社及び現地グループ子会社に対して海外実地調査を行うことであり,そこでの調査の観点は,組織業績管理と人的資源管理展開の実態究明に置いた。そして,アジア大洋州地域については,アジア大洋州地域統括会社(PA社・在シンガポール),テレビ製造子会社(PAVCKM・在クアラルンプール)への訪問調査を,それぞれ平成25年2月21日,2月19日に実施した。また,中国地域については,中国地域統括会社及び広域販社(在上海)への訪問調査を平成25年3月14日,15日にかけて行った。 以上の調査からは多くの知見を得ることができたが,その主要な一つは,事業計画策定プロセスにおける開・製・販の調整のありようや,その各級事業計画策定過程の地域軸,事業軸での配置状況から,組織業績管理の展開や人的資源管理改革を読み解いて行く方法的視座を得たことであった。 なお平成24年度に実施したヒアリング調査等からの事実発見については,社団法人「関西国際産業関係研究所」月例研究会(H25年3月23日)においてその一端を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)交付申請書での研究計画に沿って,本社人事部調査,対象事業分社調査,海外現地調査を大きな滞りなく,実施できたこと。 (2)それら個々の調査実施を通して,今後の研究計画遂行の基軸となる方法的視座を獲得し得たこと。
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今後の研究の推進方策 |
(1)アジア大洋州,中国地域をフィールドとする第二次現地訪問調査,インド地域をフィールドにする第一次現地訪問調査,パナソニック社のBtoB事業に焦点を置いた国内調査などを,遅滞なく実施する。 (2)これまでの調査記録の整理と内容の検討を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
各4名の参加を計画していたアジア大洋州,中国地域現地訪問調査について,業務の都合から各3名の参加に限定せざるを得なかったことが,「直接経費次年度使用額」が発生した中心的な理由である。次年度以降においては,新たにBtoB事業も対象事業分野に加える予定であることから,研究事業規模と予算規模は均衡すると思われる。
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