研究課題
大気上空は低温、乾燥のほか強い紫外線に曝される環境であるが、近年、上空数kmの高度を中国から日本へ飛来してくる黄砂粒子にも細菌やDNAが存在することが明らかとなってきている。また春の黄砂飛来時に呼吸器疾患やアレルギーなどの患者が増加するといわれているが、大気の微生物濃度や微生物種、気象条件によるそれらの変動など、まだまだ不明な点が多い。そこで本研究では中国の敦煌市(タクラマカン砂漠の東端に位置する)と日本上空で自由大気圏を長距離移動するエアロゾル(気体中に浮遊する微小物質)を採集し、エアロゾルに含まれるDNAを抽出し、DNA濃度から微生物濃度を明らかにすること、またrRNA遺伝子配列による微生物種の同定と遺伝子の水平伝播の影響を評価するためDNA組み換え遺伝子の解析を行なうことを目的としている。中国敦煌市では砂漠地帯でエアロゾルを採集し、培養過程を経ず直接DNA抽出を行い、rRNA遺伝子配列により微生物種の同定や組み換え遺伝子の配列解析を進めた。また、日本上空では中国から飛来するエアロゾルをとらえるため、中国でダストストームの起きた後(約2,3日後)、日本への黄砂飛来情報を確認し、ヘリコプターにより石川県西沿岸沖の上空1~3kmのエアロゾル採集を行なった。日本側で採集したエアロゾルもDNA抽出し、rRNA遺伝子配列解析により微生物種の同定や組み換え遺伝子配列の解析を進めた。その結果、黄砂時にはDNA濃度が高くなること、地上付近で採集したエアロゾルとこれまで気球(上空800m)で採集したエアロゾルでは含まれる微生物種が異なること、地上付近に比べ上空の方は微生物種の多様性は低いことなどが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Air Quality, Atmosphere and health
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