研究課題/領域番号 |
24403005
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
田部井 隆雄 高知大学, 教育研究部自然科学系, 教授 (40207220)
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研究分担者 |
木股 文昭 公益財団法人地震予知総合研究振興会, 東濃地震科学研究所, 副主席研究員 (10089849)
伊藤 武男 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (40377982)
太田 雄策 東北大学, 理学研究科, 助教 (50451513)
堤 浩之 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60284428)
久保 篤規 高知大学, 教育研究部自然科学系, 准教授 (60403870)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スマトラ断層 / プレート境界 / GPS / 地殻変動 / インドネシア |
研究概要 |
本研究の目的は,インドネシア国スマトラ島北西部においてGPS観測,地震観測,変動地形調査を実施し,2004年スマトラ島沖超巨大地震に伴う余効変動の収束過程と,内陸スマトラ断層における新たなひずみ蓄積過程を解明することである.4年計画の2年目にあたる平成25年度は,まず6-7月に4名によりGPS観測を実施した.観測期間中の7月2日に観測網内でM6.1の直下型地震が発生し,震源近傍では建物の倒壊や大規模地すべりで死者が発生した.幸い観測チームに被害はなく,現地の大学研究者と合同で緊急観測を実施した.これに先立つ平成25年1月21日にも近傍でM6.1の被害地震が発生し,スマトラ断層の活動活発化が懸念され,本研究の果たす重要性を再認識した.9月には3名により地震データ回収と変動地形調査を行い,11月には2名により断層クリープ変位の第1回測定を実施した.さらに,平成26年2月には2名により再度地震データの回収を行った. 観測データを詳細に解析した結果,2つのM6.1の地震のうち1月21日のものはスマトラ断層を震源とする右横ずれ地震で,7月2日のものは共役断層を震源とする左横ずれ地震であることが判明した.この地域で共役断層の存在はこれまで知られておらず,今回が初めての発見である.その成果を12月にアメリカ地球物理学連合2014年秋季大会(サンフランシスコ市)で発表した.また,2004年スマトラ沖地震の発生直後から実施している長期の余効変動観測を基に,プレート境界震源域の余効すべりと広域の地殻の粘弾性緩和の両方に起因する余効変動モデルを提唱し,Journal of Asian Earth Sciences誌に発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GPS観測によりスマトラ断層震源近傍の地殻変動場を決定することができ,共役断層の新たな発見につながった.また,変動地形調査を複数個所で実施し,詳細な活動履歴を求めることができた.断層クリープ変位の直接測定という新たな挑戦も開始した.一方,地震観測は継続できているものの,担当する研究分担者が12月に急死してしまったため,データの解析が十分に進んでいない.
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今後の研究の推進方策 |
GPS観測,地震観測,変動地形調査ともこれまで2年間の作業を継続する.スマトラ断層の活動が新たな段階に入った可能性があるので,現地の大学との協力をより一層強めながら,監視体制の充実を図る.海外へ留学していたインドネシア側地震研究者が間もなく帰国し,本研究への参加協力が決まったので,遅れている地震データの解析処理を一気に進めたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用額が生じた研究者は1名のみで,残額は配分額の約4%である.日本から現地までの渡航費は時期とルートによって大きな開きがあり,また,野外調査は天候にも左右されるなど,経費の見積もりが難しい点がある. 残額は小額であるので,次年度の経費と一括して使用する.計画の遂行に影響はない.
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