研究課題
国際的なグリーンランド地震観測計画であるGLISN計画は平成23年度より地震観測点の設置が進んでおり極地研究所と米国地震観測網IRISおよびデンマーク地球物理研究所との共同により、平成23年度に氷床上の地震観測点を設置した。この観測点のデータは一部リアルタイムで伝送されているが、すべてのチャンネルの連続波形記録は観測点まで行き回収する必要がある。平成26年度は、夏季の安全な時期に観測点まで行き、このデータ回収と観測点維持のための機器点検を行った。観測された地震計記録はノイズも少なく良好な記録が得られることが分かった。これまでは、この連続地震記録を1 spsまでダウンサンプリングした長周期データを 8時間毎に転送していた。平成26年度の観測では、機材の積雪対策がほぼ完了し、通年観測に十分で安定な電力供給が見込めたこと、ファームウェアの更新により機材同士の通信トラブルを解決したこと等により、イリジウム衛星通信の最大転送速度300 B/s近くまで転送容量をアップさせ、氷床上にある地震観測点すべてで20 spsの広帯域データのリアルタイム転送が可能とした。この記録についてアメリカ地球物理学連合秋季大会においてポスター発表を行った。観測点に設置されたGPSを用いて2013年から2014年における観測点の移動を定量的に見積もった。その結果、氷床の流動方向と一致する南西方向に約5m移動していることが分かった。移動の時間変化は少なく、ほぼ一様に流動していることも分かった。
2: おおむね順調に進展している
氷床上の広帯域地震計観測点へデータ回収に行くことが出来て、無事に連続波形記録を取得でき、さらにリアルタイムでのデータ伝送の可能としたことは当初の計画が順調に進展していることを示している。地震活動の時間変化について解析も進んでいる。
氷床上の地震観測点には本研究課題の研究期間中に継続して訪問してデータ回収を行う必要がある。このためには、大きく研究計画を変更する必要はないが、研究期間後期において旅費の不足が起きないように計画的に研究費を支出する事が必要である。
グリーンランド氷床地震観測点の維持のために、現地に海外出張する人員が1名となったため。
来年度の観測計画で必要な旅費に充てる。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (4件)
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