研究課題/領域番号 |
24403006
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
坪井 誠司 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 部長 (90183871)
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研究分担者 |
金尾 政紀 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (40233845)
豊国 源知 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90626871)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 固体地球物理学 / 地震 / 極地 / 広帯域地震観測 / 氷床地震 / グリーンランド氷床 / 気候変動 |
研究実績の概要 |
国際的なグリーンランド地震観測計画であるGLISN計画は平成23年度よりグリーンランド島内への地震観測点の設置が進んでおり、極地研究所と米国地震観測網IRISおよびデンマーク地球物理研究所との共同により、平成23年度に氷床上の地震観測点を設置した。この観測点のデータは平成26年度から20spsの広帯域地震記録をリアルタイムで転送しているが、すべてのチャンネルの連続波形記録は観測点まで行き回収する必要がある。さらに、平成23年度から4年間が経過し、冬季の積雪により地震計が埋没しており、平成27年度は地震計の再設置をする必要があった。そのために、夏季の安全な時期に、米国地震観測網IRISの担当者と共同で観測点まで行き、地震計の回収及び再設置を実施した。地震計は深さ約5mの雪中に埋没しており、人力で掘り出し、深さ40cmの場所に再設置した。再設置後の地震計は正常に動作しており、地震波形の連続観測を安定して再開することが出来た。平成27年度は、これらの広帯域地震計記録の上下動成分を用いて地震波干渉法解析によってレイリー波を検出し、氷床と地殻を含むグリーンランドの浅部構造を調べ、さらに微動生成源を推定することを試みた。解析には2015年1月1日~4月20日のデータを用いた。1000 kmを越える長距離を伝播するレイリー波を検出するため、連続記録は長さ600秒のセグメントに分割し、前処理としてイベント波形や異常値の除去、機器応答特性補正、白色化、二値化を施した。この結果から、微動生成源は、卓越風の強風域とよく対応していることが明らかとなった。この解析結果は、日本地震学会秋季大会およびアメリカ地球物理学連合秋季大会においてポスター発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に設置した氷床上の広帯域地震観測点について、観測点の維持が予定通り行えており、観測記録も蓄積されている。今年度は、埋没した地震計の回収と再設置を順調に実施することが出来た。研究期間内に蓄積された氷床上の広帯域地震計連続記録を用いた地震波干渉法解析も進んでいる。氷河地震の成因については、氷床端における崩壊によるものとの研究結果が海外の研究者から発表されているが、氷床底面でのすべりによるものがどの程度の頻度で起きているかはさらに解析する必要があり、この点についてはやや当初目標から遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
氷床上の地震観測点については、平成28年度も現地へ行き保守作業を実施する必要がある。このために研究計画を大きく変更する必要はないが、平成28年度も現地へ行くための旅費が不足することのないように計画的な予算の執行が必要である。蓄積された観測データの解析により、氷河地震の発生機構の解明とその原因となる氷床流動の時間変動を解析するために、今後は地震観測と共に行っているGPS連続データを解析することが必要であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の異動に伴い分担者から外れることとなり、観測点の維持のための出張旅費が当初予定より減額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究分担者の予定を調整し、観測点の維持のための出張を2名で行うための旅費として次年度使用する予定。
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