研究課題
国際的なグリーンランド地震観測計画であるGLISN計画は、平成23年度よりグリーンランド島内氷床上への広帯域地震観測点の設置が進んでいる。我々は、国立極地研究所と米国地震観測網IRISおよびデンマーク地球物理研究所との共同により、平成23年度から広帯域地震観測を開始している。平成26年度より一部の地震観測記録は衛星回線によりリアルタイムで収集しているが、すべてのチャンネルの連続波形記録は現地で回収する必要があり、今年度も観測点に行き連続波形記録を回収した。昨年度から、広帯域地震計記録の上下動成分を用いた地震波干渉法解析を行っており、今年度も引き続き解析を進めた。地震波干渉解析ではレイリー波を検出し、グリーンランドの氷床と地殻浅部構造を調べ、微動生成源と氷河地震発生源との関連性などを調べている。昨年度同様に長距離を伝播するレイリー波を検出するためにイベント波形の除去、機器応答特性補正などの処理を施した。その結果、地震波速度構造の時間変化が特定の地域に見られること、その変化は氷床底部の融解に起因する可能性があることが分かった。特定の地域は他の観測データとの関連性からもこの可能性を示唆するものである。この解析結果は日本地震学会秋季大会で発表し、さらに論文として投稿し、現在査読コメントに対応しているところである。また、地震観測と同時に実施しているGPS連続観測データを取得し、氷床上観測点の移動速度と方向について検討を加え氷河地震発生源との関連性を示唆するものがないかを調べている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
International Journal of Geosciences
巻: 8 ページ: 181-188
doi:10.4236/ijg.2017.82007