研究課題/領域番号 |
24403013
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
掛川 武 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60250669)
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研究分担者 |
橋爪 光 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90252577)
長瀬 敏郎 東北大学, 学術資源研究公開センター, 准教授 (10237521)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | primary producer / Archean / cyanobacteria / black shale |
研究概要 |
本研究では、38億年、32億年および30億年前の地層が分布する3地域を調査地域として、30億年以前の初期地球海洋環境における一次生産微生物を特定することを目的としている。地質、鉱物情報とともに30億年以前でも浅海域では光合成微生物が一次生産者であったことを示していく。深海では一次生産者に支えられた微生物生態系が発達していた事も示していく。25年度は8月上旬の1週間にカナダオンタリオ州において30億年前の地層の調査を東北大単独で行った。ここには黒色頁岩、縞状鉄鉱層などが分布している。現地では9月中旬の10日間、調査を行った。ヨハネスブルクでレンタカー(4WD)し、東北大学学生と北海道大学協力者とともに現地調査を行った。南アフリカバーバートン地域には32億年前の縞状鉄鉱層、黒色頁岩、砂岩、礫岩(フィグツリー層、ムーディーズ層)が分布している。両地域で有機炭素を含む縞状鉄鉱層、黒色頁岩、砂岩とその周辺層を系統的に調査、採集した。現地で採集された岩石試料は郵送され、東北大学で顕微鏡観察やEPMA分析などで岩石鉱物の記載を行った。全岩炭素、硫黄、窒素含有量、およびそれどれの安定同位体測定は東北大で行った。抽出されたケロジェンは、段階燃焼法窒素同位体分析用試料となり、大阪大学で分析された。北海道大学でクロム鉄鉱の酸素同位体に関してSIMS分析も行った。また同時並行してTEM, SEM, ラマン分析を行った。これらは東北大学の共同利用施設を用いて行った。分析の効率化を図るために学生を謝金で雇用し労務に当たらせた。外国調査と同時に、国内でも類似地層が露出する秋田県北鹿地域の調査、研究も行った。研究成果の一部は国際学会、国内学会で公表してきている。また成果の一部は既に論文化されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定通りカナダと南アフリカの調査を行えた。現地では想定した以上に目的としている岩石が採集できた。岩石試料の分析とそれらデータの解析は順調に進んでいる。研究成果の一部は国際学会、国内学会で公表してきている。また38億年前の地層に関してはNature Geoscienceに論文として公表できた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、目的通りに研究は進んでいる。研究支援者を雇用するなどして実験の効率化をはかることを検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度の末に東北大学の学生が大阪大学で窒素同位体分析を行う予定であった。しかし大阪大学の機械が故障し、分析ができなくなったので、次年度にこの分の分析を行う事にした。その為の旅費が次年度に繰り越しになっている。 7、8月頃に大阪大学に学生を派遣し、窒素同位体分析を行う。
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