H26年度は、過去2か年間に渡って採集したトビケラ目種の同定結果をまとめ、6月に韓国・ソウルで開催された2nd Benthological Society of Asiaにて成果発表を行い、フル査読誌Entomological Research Bulltainに掲載されている。それ以外、国内の第38回水生昆虫研究会などにおいても発表した。 ミャンマー・南チン州のChee川とSaw川流域において採集を試み出現種リストを作成した。トビケラ目においては過去の文献と合わせると28科68属227種の記録があり、このうちミャンマー初記録は10科(ナガレトビケラ科、ツメナガナガトビケラ科、ヤマトビケラ科、カワトビケラ科、ヒゲナカカワトビケラ科、クダトビケラ科、シマトビケラ科、ニンギョウトビケラ科、ヒゲナガトビケラ科、フトヒゲトビケラ科)15属21種あった。特にヒゲナガカワトビケラ科とシマトビケラ科の種数が多い。また、過去の文献で記録されている中で、この地域で確認されなかった科も多数存在する。 カワゲラ目は東南アジアでは元々記録が大変少なく、形態的特徴から全て未記載種であり、少なくとも4種類のカワゲラ科(Perlidae)の生息が確認された。これらの親子関係の検証をゲノムプロファイリング(GP)法により行っている。 これまでの現地調査から、山地内の勾配の高い礫状河川において河床の平坦化と水質の富栄養化が懸念される。2つの調査した河川のうち1つはダムの建設が進められており、そこでは環境アセスメントは行われておらず、長期のモニタリングが必要である。その他、H25年度に発表した焼畑による土砂流出や現地住民の環境保全に関する意識調査などは現地の行政官や国立公園長等に周知され、持続的なモニタリングと彼らで実施可能な保全活動プランの必要性が確認された。
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