研究課題/領域番号 |
24404009
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川崎 昭如 東京大学, 生産技術研究所, 特任准教授 (00401696)
|
研究分担者 |
目黒 公郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40222343)
大原 美保 東京大学, 情報学環, 准教授 (70361649)
近藤 伸也 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (50426532)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 防災 / 自然災害 / 洪水 / 土砂災害 / 国際協力 / 携帯電話 / 東南アジア |
研究概要 |
アジアの農村・山間コミュニティを支援する災害情報伝達システムのあるべき将来像の提示が本研究の目的である。具体的にはタイ、ミャンマー、バングラデシュの3カ国で現地調査を行い、災害情報伝達における現状の問題を把握し、住民ニーズやリテラシーを考慮した効果的な災害情報伝達手段と表現方法を検討する。また、通信インフラ事業者や行政を対象とした通信技術の将来動向に関するヒアリング調査により、本研究で提案する災害情報伝達手段の達成可能性について分析する。 平成24年度は、農村・山間地域を対象とした災害情報の生産-伝達-受容過程の解明として、3カ国での防災関連機関へのヒアリング調査や文献調査により、風水害情報の生成から収集、加工・蓄積、組織内利用、住民への配信までの過程を整理した。本調査では、災害サイクルにおける「被害軽減」と「予知・早期警戒」、「緊急・応急対応」のフェーズを対象とし、情報伝達の経路や内容、情報の時空間精度を整理し、その全体像を把握した。 また、農村・山間地域での災害情報ニーズとリテラシー調査、ワークショップの開催をタイ東北部とバングラデシュ・ダッカ近郊の農村にて実施した。本調査により、住民が活用可能な通信機器の種類(TV、ラジオ、携帯電話、インターネット、防災行政無線)や災害情報の入手手段、平常時の備え、受容可能な災害情報の表現方法を明らかにした。ミャンマーにおいては、洪水多発地帯であるバゴー市における貧困と洪水被害に関する基礎調査として住民への聞き取り調査を行い、次年度以降の住民ワークショップ開催向けた情報収集を行った。 そして、日本におけるエリアメールを活用した災害情報伝達の実態調査として、2011年9月の風水害において土砂災害警戒情報や水位情報がエリアメールにより携帯所有者に伝達するなど先駆的な防災情報配信を実践している香川県に対してヒアリング調査を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象3カ国における行政を対象としたヒアリング調査を実施するとともに、タイでは農民を対象としたワークショップおよびアンケート調査の実施、バングラデシュではワークショップの実施、ミャンマーでは住民へのヒアリング調査を実施するなど、海外での調査計画は概ね予定通り実施することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画に従って、研究を推進する。ただし、2カ国(タイとミャンマー)におけるスマートフォンの普及が予想を超えるスピードで進展しているため、本研究計画で焦点を絞っていたGSM方式の音声回線を利用したショートメッセージサービス(SMS)によるエリアメールサービスの適用可能性に限定せずに、スマートフォン・サービス〓用も併せて検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
初年度の調査を継続しつつ、その結果を踏まえて、エリアメールなどを応用した技術の海外移転の可能性およびローカライゼーション手法について検討する。特に、情報通信インフラの現状と将来動向調査として、急速に拡大・発展する3カ国の情報通信インフラの現状とそれを活用した災害情報発信システムの開発可能性を探るべく、AISやDTACなど、当該地域の大手通信事業者へのヒアリング調査を実施する。
|