研究課題/領域番号 |
24404010
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
権田 豊 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10303116)
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研究分担者 |
堀田 紀文 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (00323478)
山田 孝 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (20333635)
沼本 晋也 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (60324555)
宮田 秀介 京都大学, 防災研究所, 助教 (80573378)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 火山 / ラハール / 河床変動 / インドネシア / メラピ火山 / シミュレーション / 火砕流 / 水文観測 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,7月と9月にインドネシアへ渡航し,PUTIH川およびGENDOL川上流域において,1)火砕物の堆積分布・材料特性・地表面の透水性,植生の回復状況の調査,2)河道の縦断・横断測量に基づく侵食・堆積状況の調査,3)PUTIH川に設置された雨量,水位観測点における,低水量時の流量調査,水位観測点における横断面の測定を実施した.GENDOL川に設置された水位計が故障していたため機器の修復を,機器を管理するガジャマダ大学に依頼した.1)~3)で取得したデータを解析し,地表面の透水性は平成25年~平成26年でほとんど変化していないこと,ラハール・洪水がほとんど発生していないこと,平成24年~25年の変化と比べると河床の変動量は少ないものの,Gendol川の上流域では河床位が低下していることを明らかにした.5)前年度に公共事業省バライ砂防事務所から取得した1996年~2005年の水文観測データを解析した.6)平成25年度に取得した雨量データを用いて,平成25年~26年の雨期の土砂生産・土砂流出・河床変動をシミュレーションしたところ,平成25年~26年の雨期のPUTIH川,GENDOL川における土砂生産,河床変動はほとんど生じない結果となった.前述したようにGendol川の上流域において実際には河床が著しく低下していたものの,ラハール・洪水がほぼ発生しておらず河川上流域では河川水が伏流していることを考慮すると,この河床変動は主に現地で進められている土砂採取によるものであると考えられた. 平成25年度の研究成果をとりまとめ,平成26年度砂防学会(開催地:新潟),Cities on Volcano 8(開催地:インドネシアジョグジャカルタ市),International Debris Flow Workshop(開催地:台湾台南市)で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度に予定していたPUTIH川,GENDOL川における現地調査は予定通りに進めることができ,噴火後数年にわたる河床変動の実態を把握することができた.しかし,水文観測については,PUTIH川における観測は問題無いが,GENDOL川に設置した計測機器が故障し,観測データが取得できなかった.そこで,PUTIH川における流出係数を用いて,シミュレーションプログラムを走らせ,平成25年から平成26年にかけての土砂生産・流出・河床変動予測を予定通りに実施し,実測結果と比較することができた.計画の一部である水文観測が予定通り進んでいないため(3)やや遅れていると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度も現地調査・観測を継続する.観測が中断しているGENDOL川については,ガジャマダ大学に水位計の修復を依頼した.また研究課題と平行して進んでいる研究プロジェクトの予算でGENDOL川には新しい水位計を設置している最中であるため,新しい水位計を併用することでGENDOL川の流出特性を把握し,降雨・流出特性を解析する.
次年度が研究の最終年になるため,これまでに観測したデータや,公共事業省バライ砂防事務所から入手した水文データの解析を完了し,研究を総括する.特に,災害予測に必要な情報と,その情報を取得する時期,手法について検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者と共同研究者1名が参加する,インドネシアメラピ火山を対象とする別の研究事業が2014年度よりスタートした.別の研究事業でインドネシアへ渡航した際に,本補助事業に係る調査も実施するようにしたため,渡航に係る旅費を節約することができたため.次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は本補助事業の最終年度にあたるため,これまで実施してきた定期的な調査研究の他に,インドネシア側の共同研究者と結果のとりまとめを行う.次年度使用額は,そのための渡航旅費として使用する.
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