研究課題
「氷河は気候変動のパラメータ」と言われるように，氷河とそれを取り巻く環境は，気候変動の影響を強く受けやすいことが従来指摘されている。特に本研究の対象地域であるボリビア国のアンデス高山域においては，熱帯氷河という地理学的特徴であることに加え，半乾燥地域であるために，水資源の多くを氷河の融解水に依存しているという水工学的な特徴がある。このような背景を受け，氷河流域からの流出水の水質形成および水質に影響を及ぼすと考えられる渓流内植生といった生態系を含めた水環境検討を実施した。本年度は，対象流域における植生と水質の変化過程を表すためのモデル作成を中心に進め，また将来的な気候変動の影響を考慮した予測検討を実施した。氷河の下流部流域においては，湿地環境が所々に生じている特徴がある水環境を形成している。そのような場所を含め，氷河の直下流から約10km程度の範囲における水質と河道内の沈水植物の状況を現地調査した。またこれまでに蓄積したデータも用いて解析モデルの検討を行った。モデルは，一般的な河川水質に関する既往研究で提案されているモデル化をもとにして構築した。本研究では，やや簡易的ながら，植生と水質の相互作用を考慮するようモデル化を行った。あわせて，河川内の沈水植物量の変化についても解析を行った。このモデルを，本研究で得られた実測結果と比較すると，観測データの量が必ずしも多いとは言えない点はあるものの，時空間変化の傾向を概ね表現することができた。また2030年頃を想定した将来予測を実施した。温暖化に伴いある程度の水温上昇や氷河融解の促進による流量変化のような環境条件変化があるため，多少の水質，植生量変化が予測された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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