本研究で行った現地調査により、特にメコンデルタにおける地下水ヒ素汚染の深刻さが明らかになった。また、ヒ素汚染地下水を汲み上げて使用することにより土壌ヒ素汚染が進行していることも明らかになった。この地下水中のヒ素の約8割が亜ヒ酸イオンとして溶存していることから、微生物によるヒ酸への酸化処理を行った後に現地自生のヒ酸高吸収植物であるモエジマシダを水耕栽培して除去することによって、ヒ素汚染地下水を飲用水に利用できるまでに浄化可能であることが知られた。本研究で開発した地下水のヒ素浄化方法は、薬剤を使用しない安価な方法であることから、東南アジア途上国の現地経済状況に適合可能な方法であると考えられた。
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